押尾被告に保護責任者遺棄で再逮捕実刑も
合成麻薬MDMAを使用したとして麻薬取締法違反の罪に問われた俳優押尾学被告(31)に対し、東京地裁は2日、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。5年は執行猶予期間としては最長。一方で警視庁捜査1課は、同被告と一緒にいた飲食店従業員田中香織さん(30)が死亡したことに関し、保護責任者遺棄などの疑いで詰めの捜査を進めている。近く押尾被告が立件されて再逮捕、実刑の可能性もある。
麻薬取締法違反罪では執行猶予を受けた押尾被告だが、もう1つの裁きを受けることになりそうだ。警視庁捜査1課は、田中さんの死亡に至る経緯と押尾被告の行動に因果関係があったかどうか、現在は保護責任者遺棄などの疑いで詰めの捜査を進めている。
捜査1課によると、押尾被告は8月2日、東京・六本木のマンション一室で田中さんとMDMAを飲んでいる。法廷で同被告は、田中さんが「3回飲んだ」と述べたが、田中さんに異変があったのは午後6時ごろ。約30分後に容体が急変した。押尾被告は、助けようと「心臓マッサージをした」と説明したが、救急車を呼ぶことはなく別の部屋に移動。駆けつけたマネジャーや友人らが119番したのは午後9時19分だった。同被告が飲んだMDMAを体から抜こうと大量の水分を補給し、友人らは救急車を呼び込む際に女性の携帯電話をマンションの植え込みに捨てるなどの、隠ぺい工作を行っていたことも分かっている。
捜査1課では当初、押尾被告が救急車を呼ぶなどの適切な救命措置を怠ったことが、田中さんの死につながったと判断。押尾被告の供述などから、田中さんに異変があってから1時間近くは生存していた可能性があることが判明しており、保護責任者遺棄致死容疑の適用を検討した。だが仮に早い段階で救急治療を受けていたとしても、高い確率で救命できたかどうかの立証は困難との見方が強くなってきた。しかし病者を保護する責任がある人物が責任を放棄した保護責任者遺棄容疑の適用は可能と見ている。仮に田中さんの死に直結しなかったとしても、押尾被告が現場から離れるべきではなかったとの判断だ。
一方で法曹関係者からは「押尾被告が保護責任者と認定されるかどうかが論点。認定されるのなら、女性が死亡している以上、遺棄致死罪を問うのが自然」との声も出ている。今回の公判では田中さんが亡くなった状況は明らかになっていない。捜査1課でも、田中さんの遺体の病理解剖結果を精査するなど、同遺棄致死容疑の立件を完全にあきらめたわけではなさそうだ。
公判中の押尾被告は、MDMAを持っていたのは田中さんだったと繰り返して強調し、自ら勧めたことはないと訴えた。押尾被告が、田中さんへの遺棄罪で再び法廷に立つのか。遺棄致死罪ならば最高で懲役20年の罪に問われる。遺棄罪でも5年だ。法曹識者は「起訴されれば、いずれにしろ実刑は免れない可能性が高い」との見方を示している。
[2009年11月3日9時56分 紙面から]
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