女性に合成麻薬MDMAを渡したなどとして、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された俳優押尾学容疑者(31)が、一緒にMDMAを使用して亡くなった田中香織さん(30)の墓参りをしていないことについて「周りが止めるから」と知人に釈明していたことが13日、分かった。

 同容疑者はMDMA使用容疑で逮捕、起訴され保釈された後の10月中旬、イベント会社の女性社長(37)と知り合い、毎日のように連絡を取り合っていた。取材に応じた同社長によると、同容疑者は、薬物使用について「軽率だった」と話しながら、田中さんの遺族への謝罪と墓参りに関して「自分では行きたいけど、周囲に止められているから行けない」と話したという。同容疑者は事件発生後、一緒にMDMAを飲んだ田中さんに異変が起きたにもかかわらず、すぐに救急車を呼ばなかったことについて「他のやつに頼んだけど、そいつがちゃんと呼んでいなかったんだ」とTBSの取材に答えている。また、警視庁捜査1課の調べには「MDMAは田中さんにもらった」と主張するなど、第3者に行動の責任をかぶせる言動を繰り返している。

 イベント社長によると、MDMA使用罪で有罪判決が出た(11月2日)後の押尾容疑者は、更生への意欲を口にしていたという。2歳になった長男に会えないことを嘆きつつ、「『父に会いたい』と、いつか言ってもらえるような立派な人間になりたい」と話したこともあったいう。事件後に支援者が離れていくことに「頼れる人もいない。お先真っ暗」と弱音も吐いたという。一方で、保釈後も知人の女優らを食事に呼び出しては遊興にふける同容疑者の姿が、別の関係者に目撃されている。この女性社長は「彼が再び逮捕された後に自分の知らなかったいろいろな話を聞いた。今から思えばだまされていたのかもしれない」と話している。

 [2009年12月14日7時49分

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