俳優小栗旬(27)が名作「時計じかけのオレンジ」を舞台化し、主演することが27日、分かった。ベートーベンの「第9」など交響曲をベースにした“狂騒々パンク・オペラ”で、小栗にとっては、初の音楽劇。赤坂ACTシアターでの上演は来年1月2日からだが、小栗は一足先にポスター撮影を行い、狂気のアレックスに変身した。

 「1年に1作は大好きな舞台に出演する」と決めていた小栗が、前作「ムサシ」以来、1年8カ月も間を空けたのは、この作品に主演するためだった。スタンリー・キューブリック監督の傑作映画にもなった「時計じかけのオレンジ」。演じるのは、狂気のアレックスだ。

 07年にローマ帝国の暴君を演じた「カリギュラ」を観劇していた舞台制作サイドから「現代のアレックス役は、小栗旬しかいない」と、熱烈オファーを受けた。ほかにも多くの舞台出演の依頼を受けていた小栗だが「こんなすごい企画があるなんて」と快諾。「中学生の時に初めて見て衝撃を受けた、スタンリー・キューブリックの映画『時計じかけのオレンジ』を自分がやるということに正直驚きです」と興奮している。

 71年公開のキューブリックの映画は、芸術的衝撃とショッキングな暴力描写で、世界的に話題となった。90年には、原作者アンソニー・バージェス氏自らの脚本で、英国ロイヤルシェークスピアカンパニーで舞台化もされた。日本では、初の舞台化となる。小栗は「当時の俳優マルコム・マクダウェルと同い年になる僕が、アレックスを演じるという縁を感じながら、映画とは違った世界観を新たに作っていければ、とワクワクしています」。

 共演には「ムサシ」など数々の舞台をともにしてきて、現在公開中の小栗初監督映画「シュアリー・サムデイ」で悪役を演じた吉田鋼太郎(51)も加わる。ベートーベンの「第9」に乗ってサディスト小栗が、ステージ上で残酷の限りを尽くす…。映画監督として活躍したばかりだが、年明けは本来の俳優業で、真価を問われる問題作に挑む。

 [2010年7月28日7時59分

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