日本を代表する人形アニメーション作家で、NHK人形劇「三国志」などを手掛けた人形美術家の川本喜八郎(かわもと・きはちろう)さんが23日、肺炎のため死去していたことが27日分かった。85歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。後日、しのぶ会を開く予定。喪主はめいの高橋裕子(たかはし・ゆうこ)さん。

 川本さんは、東宝撮影所の美術担当を経てフリーの人形美術家になった。人形を少しずつ動かしてコマ撮りする人形アニメに魅せられ、制作を開始。旧チェコスロバキアに渡り、世界的な人形アニメ作家イジー・トルンカ氏に師事した。

 帰国後、「鬼」「道成寺」「火宅」など日本の伝統的な様式美と人形表現を取り入れた映画を次々と発表。国内外の映画賞を数多く受け、高い評価を得た。人形美術を担当したNHK人形劇の「三国志」(82~84年)と「平家物語」(93~95年)では、情感あふれる人形を造形し、幅広い層に親しまれた。

 折口信夫原作の映画「死者の書」(05年)が最後の作品となった。07年、代表作品などを展示する飯田市川本喜八郎人形美術館が長野県飯田市に開館した。95年、勲4等旭日小綬章。

 [2010年8月28日9時2分

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