AKB48の人気メンバー小野恵令奈(16)が27日、グループを卒業した。都内の秋葉原のAKB48劇場でチームK公演に出演。仲間とファンに見守られて“卒業式”を行った。今後は、国際派女優になる夢を目指して、英国へ語学留学する。

 泣かないと決めたのに、客席に最も近いバルコニーで歌うと涙がこぼれた。お手製の“えれぴょんうちわ”を振るファンの姿に目の奥が熱くなった。必死にこらえてアンコールまでたどり着くと、旧チームKの仲間たちも駆けつけてくれた。4年半前のデビュー時から、最も泣き虫だった小野は「成長したところ見せたかったのにぃ…」と唇をかんだ。涙、涙の卒業式となった。

 人気メンバー小野の卒業式は、AKB48劇場5年の歴史で史上2位の143倍の高倍率というプラチナチケットになった。7月11日の代々木コンサートで「この夏でAKB48を卒業します」と衝撃告白してから78日。最後の舞台には、ウイッグを着けて、デビューからのトレードマークで思い入れの深い髪形だった、ツインテールに戻していた。

 12歳だった5年前。偶然見たテレビ番組で「AKBに入ると夢がかなう」との言葉を耳にした。女優になる夢を詰め込み、ランドセル姿のまま1人で、秋葉原の劇場の門をたたいた。チームK初期メンバーで、長らく屈指の人気を誇ってきた。卒業表明直後、ブログに寄せられたファンの書き込みも、わずか数日間で1万5314件に上った。

 ただ、小野は「デビューのときから、AKBは通過点。いつか羽ばたいていくと約束していたので」と、迷いなく言い切った。6月の映画「さんかく」で、主演高岡蒼甫の相手役として、キスシーンまでこなし、本格的な演技に目覚めた。

 小野

 ステージも大好きだけど、映画の世界で自分をもっと表現したい。AKBではセンターになれなかったけど、いつか女優界のセンターを張れるようになります。

 菊地凛子のような国際派女優を目指し、10月には英国留学に旅立つ。昨年末の大ブレーク後に人気メンバーが自主卒業するのは初めて。衝撃は大きいが、小野の卒業も、AKB48の成功例の1つだ。

 [2010年9月28日9時44分

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