韓国の5人組人気ガールズグループ、KARA(カラ)のパク・ギュリ(22)を除く4人が19日、現地の所属事務所DSPメディアに専属契約解除を通告したことが分かった。この日、4人の代理人が発表し、現地メディアが一斉に報じた。メンバーが望まない芸能活動を所属事務所が強要し、信頼関係が回復できないことなどを理由にしている。日本でも昨年デビューし、K-POP人気をけん引するグループだが、分裂の危機で日本での活動への影響も懸念される。

 【解説】「またか」と思う。どうして韓国グループには、契約問題のゴタゴタが多いのか。1つには韓国特有のアイドル育成システムが影響しているとも思える。

 韓国のアイドル育成は「インギュベーティング・システム」が主流だ。「ふ化させる」という意味で、芸能事務所がオーディションで選抜した練習生を徹底的に鍛え上げ、「完成品」としてデビューさせる。日本は素人でもデビューさせ、時間をかけて育てていくが、韓国は逆といっていい。

 練習生は一般的に寮生活で、食住などの費用は所属事務所が持つ。レッスンは軍隊並みの厳しさで、歌唱、ダンス、語学など1日10時間以上受ける。挫折すれば道は閉ざされる。それでも、アイドルを夢見る若者は後を絶たない。少女時代には9年間頑張ってデビューしたメンバーもいる。韓国の音楽市場は日本の30分の1で、海外進出がなければ稼げない。だからこそ、KARAが5人組、少女時代が9人組のように、英語、日本語、中国語、フランス語など各国の言語を習得したメンバー構成になる。

 練習生は、事務所からすると「初期投資」。デビュー後に回収する。その際、専属契約を結ぶが、10、15年の長期契約もある。事務所は各国各地に進出し、利益を追求。スケジュールは過密となり、仕事内容は多種多様となる。この雇用関係は、韓国内でも問題となり、国会でも取り上げられている。KARAには、今後もパフォーマンスを見せてほしいのだが…。【編集委員・笹森文彦】

 [2011年1月20日9時12分

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