福島原発事故後の反原発発言で所属事務所をやめるなどの騒動になった俳優山本太郎(36)が1日、ミュージカル「太平洋序曲」(6月17日~7月3日、横浜市・神奈川芸術劇場)の公開げいこに参加した。今回の騒動発覚後、山本がマスコミの前に姿を見せるのは初めて。山本は同ミュージカルでジョン万次郎役などを演じ、原発事故をせりふに入れることも検討されている。

 駆け付けた報道陣に対し山本は「すいません。ここで話すと、全員に話さなくてはいけなくなるので」とコメントは控えた。だが、けいこでははつらつとしていた。ジョン万次郎、士官などの役を掛け持ちし、太鼓に歌、演技に動き回った。演出の宮本亜門氏(53)は「太郎君は一本気で、何が大切で、何が正しいのかを考えている。万次郎役は合っている」。

 万次郎は命の危険を顧みず米国から帰国し、黒船来航で日本に危機が迫っていることを訴える。この万次郎と、山本が俳優生命に不利となりかねない反原発発言を繰り返す姿が重なる。山本がやめた事務所の先輩で主演の八嶋智人も「役がすごく合っている。太郎も気合入れて臨んでいて、鬼気迫るものがある」と話した。

 山本は4月にツイッターで「原発発言はCHECKされ必ず仕事干される(中略)だからって黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ」と宣言し、反原発デモに参加。5月25日にマネジャーから原発発言が原因で夏のドラマを降板になったことを聞いたとつぶやき、ネット上で騒ぎとなり、同29日に「迷惑をかける」と事務所を退社した。

 山本はツイッター以外は無言を貫き、ツイッターも退社宣言後は更新していない。宮本氏は「太平洋序曲」の最後に現在までの歴史を振り返る場面で、今回の原発事故をせりふに入れることを検討している。