歌舞伎俳優市川海老蔵(34)が30日、大阪市内で、来年1月の大阪松竹座公演「寿初春大歌舞伎」(2~26日)に、本来は演目にない吉例の「にらみ」を急きょ、取り入れることを明かした。

 東日本大震災など、今年は大きな災害があった。来年の正月公演に、市川団十郎一門に伝承される魔よけの所作を入れ、日本列島を元気にしたいという願いを込めるという。

 にらみは同一門だけに許されてきた見えの型。江戸時代から病気治癒などの吉例といわれてきた。

 今回、にらみを取り入れるのは、海老蔵が5役を演じる「雷神不動北山桜」。この日、同劇場内で、同演目ゆかりの成田山新勝寺の大阪別院から、導師の飯島照輝主監を招き、成田山出開帳開白法要が行われた。

 法要の際、飯島主監から「今年は大きな災害があり、こんな時にこそ、海老蔵丈には、にらんで、にらんで、にらみまくって、日本を元気にしていただきたい」とリクエストを受けた。

 海老蔵は父の団十郎と相談し、初日から3日間、特別に「雷神-」の口上に、にらみを入れると決意。09年6月にも同劇場公演で、当時流行していた新型インフルエンザ退散を祈願して取り入れたことがある。「あらためて身の引き締まる思い。本来(にらみは)ないのですが、ぜひ取り入れたい」と話している。