堂本光一(33)主演ミュージカル「Endless

 SHOCK」が7日、福岡・博多座で開幕した。00年に初演。拠点としてきた東京・帝国劇場以外では、初の地方進出となる。堂本が「毎年、同じものを見ていただきたい」とスタンダードな舞台にこだわりを持つだけに、博多座では大がかりな準備を要した。

 「SHOCK」は大規模で複雑な舞台装置を必要とするだけに、博多座は改装工事に着手。フライング用に天井に穴を十数カ所開ける工事で、4000万~5000万円かけた。堂本が階段落ちをする22段の階段を含め、ほとんどの舞台装置を東京から運搬。地方公演の物品運搬は11トントラック13台前後が普通だが、約2倍の25台で運んだ。

 天井が帝劇より1メートル高く、フライングの綱が70センチ長くなるなど、多少の違いがあったが、堂本は「帝劇とほとんど同じようにできていた。状態もすごくスムーズ」と感心した。

 一方、堂本は昨秋ロスへ飛び、故マイケル・ジャクソンさんの振付師、トラビス・ペイン氏に1シーンの振り付けを依頼。エネルギッシュなダンスシーンを新しく用意した。その背景にはある思い入れがあった。

 昨年の3月11日。第1幕終了後に東日本大震災が発生し、その後の28公演を中止した。「時間が止まったままだったので、リハーサルで音楽をかけても体が動かなかった」。以前、女優森光子から「幸せな時じゃないと、私たちは舞台や仕事ができないから」と言われた。「以前はピンとこなかったけど、初めて重くのしかかってきました。『SHOCK』の時間がここから動きだすことができて、うれしく思っています」。

 舞台に立てる幸せをあらためてかみしめながら、約1カ月間、ステージに立ち続ける。【近藤由美子】