俳優石原裕次郎さん(享年52)の私生活に、初めて第三者が迫って描いた評伝「裕さんの女房-もうひとりの石原裕次郎-」(青志社刊)が、11日に出版されることが7日、分かった。直木賞作家の村松友視氏(72)が、まき子夫人に行った2日間、8時間超にわたる取材と膨大な資料を通し、表に出なかった裕次郎さんの内面やエピソードを明かした。
村松氏は高校時代に映画「太陽の季節」「狂った果実」を見て、裕次郎さんのとりこになった。4年前、裕次郎さんが64年3月18日に渡米した際に、米歌手エルビス・プレスリーさんと対面した写真を見て、今作品の執筆を構想した。裕次郎さんの私生活にまで迫った書籍は、まき子夫人と兄の石原慎太郎東京都知事(79)の著作のみ。村松氏はまき子夫人というフィルターを通し、時代背景などを織り交ぜながら、裕次郎さんの内面を浮き彫りにしている。
同書では、裕次郎さんがありったけのお金を使って豪華客船に乗って死にたいと思っていたことが、まき子夫人から初めて明かされた。また、裕次郎さんが結婚前「男の子2人、女の子2人の4人がいいな」と理想の家庭像を打ち明けたこと、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督が巨人に入団した1958年(昭33)に裕次郎さんの家に入り浸り、そこから後楽園球場に通った逸話も紹介されている。
村松氏は「誰でも知っている石原裕次郎と誰も知らない石原裕次郎の間に存在する、勇気とやさしさと色気の謎を額縁のなかにおさめてしまうのは、いかにも惜しい」と執筆の理由を語った。
まき子夫人は「幸せと絶望と希望、本当に波瀾(はらん)万丈でいろいろあった裕さんとの人生を、ありのままお話し致しました。素の裕さんが生き生きと登場し、とても感動致しました」と話している。
◆村松友視(むらまつ・ともみ)1940年(昭15)4月10日、東京都生まれ。静岡県清水市(現静岡市)で育ち、慶大文学部卒業後、中央公論社「海」編集部などで編集者を務め、80年に出版した「私、プロレスの味方です」「当然プロレスの味方です」がベストセラーになり、独立。82年に「時代屋の女房」で第87回直木賞、97年に「鎌倉のおばさん」で第25回泉鏡花文学賞を受賞。




