劇作家で俳優の唐十郎(72)の長女大鶴美仁音(みにおん=20)が劇団俳小公演「少女仮面」(8月1~5日、東京・池袋シアターグリーン)にヒロイン役で出演することが25日、分かった。この日、自宅前で転倒し脳挫傷などで入院していた父の唐も退院した。唐も観劇の予定で、大鶴は「父が見に来た時に褒めてもらえるように頑張ります」と話した。

 「少女仮面」は唐の代表作。宝塚スター春日野八千代をはじめ、さまざまな登場人物たちの荒唐無稽な世界を描き、大鶴はヒロインの少女貝を演じる。「父の作品は大好きで、『少女仮面』を含めた4作品のヒロインをやることが夢だった。夢がかなってうれしいし、やってやろうという気持ちです」。

 3歳から唐組の公演を見て育ち、中学1年で唐の脚本の映画「ガラスの使徒(つかい)」に出演した。高校2年で唐組公演に出演したのをきっかけに女優を志した。現在は日大芸術学部演劇学科3年で、貝役は初めてつかんだ大役。「キラキラと純粋だけど、どこかトゲもある。けいこは楽しいけれど、一筋縄ではいかない役です」。大学の先輩にあたる演出の加納幸和氏は「彼女は真っすぐな子。ただ真っすぐすぎて、ちょっとひねくれたところもあった方がいいかな」と話している。

 出演が決まった時に父には「えっ、やるの。頑張りなさい」と言われただけで、特にアドバイスはなかったという。「中学のころはお芝居の話もしたけれど、今はあまりしません。でも、父は予想もつかないことを言うので面白いです」。自ら“天真らんまん”と言う大鶴は「アイドル的女優にはなれないと思うので、個性的演技が持ち味の魅力的な役者になりたいです」と話した。【林尚之】

 ◆大鶴美仁音(おおつる・みにおん)1991年(平3)7月29日、東京生まれ。映画「ガラスの使徒」「シアトリカル

 唐十郎と劇団唐組の記録」、唐組公演「ジャガーの眼」「ひやりん児」などに出演。日大芸術学部演劇学科演技コースに在学中。155センチ。