【香港18日=松本久】男性3人組ユニットw-inds.が全国ツアー最終公演を香港で行った。04年に台湾で初の海外公演を実現させてから10年という節目。この日までにアジア圏で単独公演14回とイベント13回で25万人動員突破という実績を積み上げてきた。“ホームグラウンド”とも言える香港で、今後は活動領域を東南アジア全域に広げたいと意欲を示した。

 ステージ2階の照明が割れてボーカル橘慶太(28)が飛び出すと、ファン約3000人から一斉に「キャー」「ケイタァ~」と悲鳴のような大歓声がわき起こった。「ダイガーハオ(こんにちは)」。すっかり身に付いた広東語のあいさつで応じ、4度目となる香港のステージが開幕した。

 01年のメジャーデビュー直後から3人には熱い風が吹いていた。初アルバムがオリコンランキング首位を獲得、翌02年にNHK紅白歌合戦に初出場。勢いのまま04年に初めて海外で単独公演を行ったのが台湾だ。メンバーの緒方龍一(28)は「夢がかなった瞬間。でも不安でいっぱいだった」と振り返る。それでも実は一部ファンが「最前列でライブを見たいから」と公演1カ月前から会場前にテントを張って野宿するほど熱狂的な人気を得ていた。

 その後も香港、韓国、中国などに活躍の場を拡大。台湾ではアルバムが4作連続で総合チャート1位を獲得する日本人初の快挙も達成した。香港でも音楽チャートの「ベストセールス大賞日韓部門」で史上初の10作連続受賞を記録。08年には中国の胡錦涛国家主席来日時に、首相官邸に招かれてライブを披露。名実ともに日本を代表する「アジアの顔」に成長した。全国ツアー最終公演を香港に決めたのも自然な流れだった。最新曲「A

 Little

 Bit」など25曲を約2時間半かけて熱唱。「楽しんでますか」。総立ちのファンに呼びかけるメンバーにも笑顔がはじけていた。

 リーダー千葉涼平(29)はさらなる夢を明かした。「アジアはまだまだ広い。東南アジアにもっとウイングを広げたい」。既に所属事務所にはインドネシア、マレーシア、タイなどのファンから公演依頼が舞い込んでいる。今年はアジア進出10周年、来年はデビュー15年の節目。「音楽は人と人をつなげるツール。音楽を通じて日本とアジアの懸け橋になりたい。自分たちは勝手にそう思っています」。橘の言葉に緒方も千葉も大きくうなずいた。

 ◆w-inds.(ウインズ)福岡出身のボーカル橘慶太(28)と札幌出身のコーラス&ダンスの千葉涼平(29)緒方龍一(28)の3人組。ユニット名は南北の風が1つになり世界に届くという意味。01年3月にシングル「Forever

 Memories」でメジャーデビュー。02年からNHK紅白歌合戦に6年連続出場。橘は昨年8月に松浦亜弥(27)と結婚。