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第20回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞


主演男優賞

木村 拓哉「武士の一分」

発表記事

 木村拓哉(35)が主演男優賞を獲得した。木村は「武士の一分」で山田洋次監督(76)の演出に応える演技力を発揮。続く主演作「HERO」は今年の邦画興行収入NO・1ヒットとなった。94年の石原裕次郎新人賞受賞から13年、名実ともに日本映画界を背負うスターとなった。「武士の一分」は石原裕次郎賞も受賞。28日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる授賞式で裕次郎夫人のまき子さんから賞金300万円が贈られる。

 受賞を知った木村は喜びと同時に重みを感じた。「過去に受賞された方の(映画における)経歴や活躍を考えると、自分がそこに存在できるのことはすごくうれしい。ただ、これからの自分に対するまなざしの厳しさも覚悟しなければいけない。責任を感じます」。

 実は「武士の一分」の台本を手にした時に「怖くなった」という。10年ぶりの日本映画。巨匠、山田洋次監督とのタッグ。初の時代劇映画。失明した下級武士という難役だった。「時代設定、生活習慣、言葉のイントネーションの違い、身体的障害。重ねていくと気持ちの上でかかとを上げていかないと厳しいかな」。

 撮影開始前、山田監督と面談の場が設けられた。多くのヒットドラマに主演してきたが「今まで経験がなかったことなので驚きました」。台本とペンを持って部屋に入った。山田監督は作品に込めた思いを静かな口調で語り続けた。話を聞く木村の表情を横で撮影監督が見詰めた。「笑われがちで、避けがちな熱さがあった。格好いいとか悪いとかそんな価値観は存在しない。僕も本当はそういうことが好き。本来こうあるべきだと。日本映画の歴史そのものの人たちに身を任せればいい」。

 怖さを忘れ、気持ちが強く固まった。選考会では「一気に観客を引きつけ、画面を覆い尽くす存在感があった」「色気があった」「目の使い方など演技力の高さを感じた」など圧倒的支持を集めた。

 相次ぐ絶賛の中に「13年間きちんと歩み続けた力を発揮した」という声が上がった。木村は94年映画デビュー作「シュート!」で石原裕次郎新人賞を獲得。「映画経験のなかった自分がいきなりものすごい賞を受け取ってしまって妙な感じがしました」。戦後最大の映画スターの継承者と期待されたが、ドラマ「ロングバケーション」で不動の人気を得て以来、活動の中心はテレビに。それでも新人賞のことは「忘れたことなんてない。心の中で大切にしていました」。

 スクリーン復帰作は堂々の評価を得た。山田監督の時代劇は「たそがれ清兵衛」が興収12億円、「隠し剣 鬼の爪」は9億円。「武士の一分」はけた違いの40億円を記録した。続いて主演した「HERO」は今年の日本映画NO・1ヒットとなる興収81億円。2作品合わせた興収は120億円を超えた。木村は「データを受け入れる責任はもちろんありますが、撮影現場でやり切った感覚もある。それでもうれしいことはうれしいですね」。

 裕次郎新人賞の授賞式で木村は「いつか裕次郎さんの名前が付いた賞の重さを背負えるような人間になりたい」と言った。それから13年。「武士の一分」は石原裕次郎賞も獲得。劇場に観客を呼ぶことができる人気と実力も示した。木村が日本映画を支えるトップスターとなって、授賞式に帰ってくる。【松田秀彦】

 [2007年12月5日 紙面から]

木村拓哉(きむら・たくや)
 1972年(昭47)11月13日、東京都生まれ。SMAPメンバーとして91年にCDデビュー。93年ドラマ「あすなろ白書」で俳優としてブレーク。その後「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「HERO」「GOOD LUCK!!」「華麗なる一族」など主演ドラマがいずれも高視聴率を記録。94年「シュート!」で映画デビュー。95年「君を忘れない」で映画初主演。04年香港映画「2046」はカンヌ映画祭コンペティション部門に出品。同年に宮崎駿監督のアニメ映画「ハウルの動く城」で声優を務めた。雑誌「anan」のアンケート「好きな男」で14年連続1位。176センチ。血液型O。
「武士の一分」
 三村新之丞(木村拓哉)は妻の加世(檀れい)、仲間の徳平(笹野高史)と幸せに暮らしていた。だが、藩主の毒味役を務め失明してから歯車が狂い始める。加世は番頭・島田のわなにはまり、新之丞は武士の一分をかけて復讐(ふくしゅう)を誓う。山田洋次監督。
主演男優賞・選考経過
 木村拓哉と豊川悦司の争い。「豊川は『サウスバウンド』『犯人に告ぐ』で違うキャラクターを好演していた」(渡辺氏)との意見があったが、「侍になりきっていた」(櫻井氏)「木村は13年前に賞を取ったが、その後の13年をきちんと歩みを続けてきたということ」(福岡氏)「今の時代のスターだから、みんなが映画を見に行く」(木下氏)との声が相次ぎ、圧倒的な票を集めた。
作品賞&監督賞 「それでもボクはやってない」 周防正行監督
主演男優賞 木村拓哉「武士の一分」
主演女優賞 竹内結子「サイドカーに犬」
助演男優賞 笹野高史「武士の一分」
助演女優賞 樹木希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
新人賞 新垣結衣「ワルボロ」「恋空」
外国作品賞 「硫黄島からの手紙」ワーナー・ブラザース
石原裕次郎賞 「武士の一分」山田洋次監督
石原裕次郎新人賞 該当者なし
ファン大賞 「HERO」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」
功労賞 北野武監督、鈴木京香


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