このページの先頭



ここから共通メニュー

共通メニュー


ホーム > 芸能 > 映画大賞 > 作品賞&監督賞


第20回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞


作品賞&監督賞

「それでもボクはやってない」周防正行監督

作品賞・監督賞をダブル受賞した周防監督は、台本を手に苦労話を語る
作品賞・監督賞をダブル受賞した周防監督は、台本を手に苦労話を語る
受賞コメント映像

発表記事

 周防正行監督(51)が「それでもボクはやってない」で作品賞と監督賞をダブル受賞した。

 周防監督は92年の「シコふんじゃった。」、96年の「Shall we ダンス?」に続き3度目の作品賞も「今回は攻めの姿勢で作品賞、監督賞を受け止めています」と語った。「日本の裁判の現実を伝えたかったので、この受賞はもう1度作品が話題になるチャンス。ありがたい」。

 痴漢に間違われた青年が直面するニッポン刑事裁判の恐怖を描く。あらゆる文献を読み込み、関係者を徹底取材し、シナリオ完成までに3年半かかった。スタジオでも常に監修の弁護士が横にいた。「法律の教材ととらえる人もいると思うが、裁判さえ伝わればこの作品はそれで結構」。リアリティーを追求した結果、最後まで緊張感を持ったエンターテインメント映画になった。「自分でも意外でした。理由やコツを自覚していれば次から便利なのになあ」。

 5年前に痴漢の逆転無罪を報じる新聞記事を読み、裁判の現実に「驚きを感じた」のが発端だった。デビュー作「変態家族 兄貴の嫁さん」は小津安二郎に、「シコ-」は大学相撲に、「Shall we-」は社交ダンスの世界に「驚いちゃった」ことから始まった。ファンの期待をよそに10年間メガホンから離れていたことにも「驚きに出会わないと。撮りたいものがなければ撮れないじゃん」と分かりやすい。

 今作に取り組むまでは「野球ばかりしていた」と公言する。東宝野球部「東宝ゴジラ」の最年長投手で、試合がなくても自主練に励む。「公園まで走って、壁に向かって投げて。カーブもフォークも投げるんだよ」。指にはまさかの血マメ。とことんのめり込むこの人らしい。【梅田恵子】

 [2007年12月5日 紙面から]

「それでもボクはやってない」
 フリーターの金子(加瀬亮)は電車の中で痴漢に間違えられてしまう。身に覚えがなかったが、駅の事務室へ連れていかれそのまま警察へ。「やってない」という訴えは聞き入れられず、弁護士(瀬戸朝香)らとともに法廷での争いが始まる。日本の裁判制度や刑事司法手続きの問題点などを描いた。
周防正行(すお・まさゆき)
 1956年(昭31)10月29日、東京都生まれ。立大文学部卒。大学在学中に高橋伴明監督の助監督としてキャリアをスタートし、84年「変態家族 兄貴の嫁さん」で監督デビュー。監督作に「ファンシイダンス」「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」。96年、バレリーナ草刈民代と結婚。
作品賞・選考経過
 「それでもボクはやってない」「武士の一分」「天然コケッコー」を推す声が挙がった。「それでも-」の綿密な構成を評価する声が多く、「裁判員制度前夜の今、時代を象徴した作品」(福島氏)「分かりやすく、最後までサスペンス要素もあった」(秋山氏)などの意見があり、圧勝した。
監督賞・選考経過
 周防正行監督と、「天然コケッコー」の山下敦弘監督、新人で「さくらん」の蜷川実花監督に意見が集中。山下監督は今年、雰囲気が全く違う「松ケ根乱射事件」を作った安定性、蜷川監督ははじけた面白さが評価された。投票は3回行われ、最後には「作品賞で圧倒的な票を集めた周防監督には力量がある。シナリオへの気配りもある」(秋山氏)などの意見があり選出。
作品賞&監督賞 「それでもボクはやってない」 周防正行監督
主演男優賞 木村拓哉「武士の一分」
主演女優賞 竹内結子「サイドカーに犬」
助演男優賞 笹野高史「武士の一分」
助演女優賞 樹木希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
新人賞 新垣結衣「ワルボロ」「恋空」
外国作品賞 「硫黄島からの手紙」ワーナー・ブラザース
石原裕次郎賞 「武士の一分」山田洋次監督
石原裕次郎新人賞 該当者なし
ファン大賞 「HERO」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」
功労賞 北野武監督、鈴木京香


このページの先頭へ