国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に、筑波大名誉博士号を授与する式典が20日、都内の同大キャンパスで行われた。バッハ氏が提唱し、IOC、政府、大会組織委員会、東京都が参加して来月初会合が行われる4者協議のメンバーがそろい踏み、バッハ氏の前で連携姿勢をアピールした。

 東京大会組織委員会の森喜朗会長は、「バッハ会長は、我々を指導していただく船長で、お父さまのような存在」と指摘。「(この場所には)小池(百合子・東京都知事)さんも、鈴木(大地・スポーツ庁長官)さんもいる。心を1つにして、バッハ会長のもとで同じ船に乗り、大会を成功裏に動かしていくことが、我々の使命だ」と訴えた。

 森氏と緊張関係にある小池氏も「18日(のバッハ氏との会談で)、『私たちは同じ船に乗っている』という言葉をいただいた。大会まで、残り4年。IOCとしっかり連携し、東京、日本が1つになって大会を成功させたい」と強調した。

 バッハ氏は講演で、20年東京五輪・パラリンピックの会場計画に関連し、「我々の中で合意が得られれば、予算の見直しができ、大きな節約ができると信じている」と主張。「最初に出された数字より、大きく下がると信じている」とも述べ、大幅なコスト削減は可能だと自信をみせた。「新しい施設を建てるより、既存施設を幅広く使って開催する。開催地は選手に最良の選択で、価値あるレガシー(遺産)となるべく慎重に選んでいる」とも評価。「64年大会は近代日本史の大きな転換点だった。今回も将来に大きくかじを切る通過点になるだろう」と、強調した。【中山知子】