米大統領選ががぜん緊迫してきた。女性問題と3回のテレビ討論で共和党のドナルド・トランプ氏(70)が失速し、民主党のヒラリー・クリントン氏(69)が安全圏の12ポイント差までリードを広げていたが、10月28日にFBIが私用メール問題の捜査再開を発表。一部世論調査ではトランプ氏が初めて逆転した。

 「ヒラリー・クリントン 運命の大統領」「大統領選からアメリカを知るための57章」など米大統領選に関する著作が多い越智道雄明大名誉教授にキーワードを解説してもらった。

 ◆選挙人 大統領選は候補に投票する直接選挙ではなく、各州に割り振られた選挙人に投票する間接選挙。人数は連邦上院+下院の議員数と同じで総勢538人。人口に応じて人数が決まり、最多はカリフォルニアの55人。最少はアラスカなど7州と首都ワシントンの3人。過半数は270人。選挙人は12月にその州で勝った候補に投票する。

 ◆総取り メーン州、ネブラスカ州を除き、得票の最も多い候補者が州の選挙人すべてを獲得。総得票数が上回っても敗れる“逆転現象”が起こることも。00年は民主党のゴア氏が共和党のブッシュ氏を54万票上回ったが、選挙人の数は266人対271人で敗れた。逆転現象は過去3回。

 ◆スイングステート シンボルカラーから民主党が強い州はブルーステート(青い州)、共和党が強い州はレッドステート(赤い州)と呼ばれる。伝統的に民主党は東海岸、西海岸、共和党は中西部、南部で強い。選挙のたびに勝利政党が変わる「揺れる州」もある。フロリダがスイングステートの代表例。青と赤が混じったパープルステート(紫の州)とも呼ばれる。

 ◆オクトーバーサプライズ 投票1カ月前の10月に発生する選挙戦に大きな影響を与える出来事。80年のイランの米国大使館人質事件の救出作戦を巡る密約、2012年のハリケーン「サンディ」襲来が代表。