東京都の小池百合子知事は27日の会見で、築地市場の豊洲移転に関連し、「今後の市場はどうあるべきか。未来を見据えた判断も必要になるのではないか」と指摘した。都が今月25日、豊洲市場が開場した場合、年間100億円の赤字が出るとの試算を公表したことを問われ、市場の「持続可能性」を再考する必要性に言及。「(豊洲への)移転日程が決まるまで、30年の日時が費やされたが、その間に物流は革命的に変わった。市場の持続可能性をもう1度チェックする必要がある」と訴えた。

 一方、小池氏は、移転延期で業者に生じた具体的な損失に対応する「補償スキーム」を発表。補償金の支払いは4月以降になるが、「納得していただけるよう、きめ細やかに誠意を持って対応したい」と述べた。来月2日で就任から半年を迎えるが、「過去の後始末ばかりでは、世界についていけない。今後はもっと高速ルートでいく」と、スピードアップを強調した。

 一方、都は、地下水モニタリング調査で環境基準の79倍の有害物質ベンゼンなどが検出された豊洲市場で、30日から3月上旬まで、再調査を行う。数値が急に悪化した今回の調査を担当した会社を含め、過去に調査に携わった3社が担当。結果は3月に公表される。再調査でも厳しい数値が出た場合、豊洲移転の是非を含め、小池氏は難しい判断を迫られる。過去に発表された数値の正当性にも疑義が生じかねず、豊洲移転の結論に向けた最大のヤマ場となりそうだ。