米国にトランプ政権が発足した。誰もが荒唐無稽と思っていたメキシコ国境の壁建設など大統領令に次々と署名している。国内では豊洲市場の地下水から環境基準の最大79倍のベンゼンが検出され、小池百合子都知事は豊洲市場の問題を都議選の争点とする考えを示している。「アメリカファースト」と「都民ファースト」。今年もこの2人が耳目を集めることになりそうだ。

 デスクA 安倍首相に近い三村日商会頭が「賢い政治家は変心する」「希望はまだある」と言い続けたように、過激な言動で物議を醸すトランプ氏も大統領に就任すれば…と、割と多くの人が思っていたのではないか。それが1週間で大統領令13連発。暴言などではなく、裏表のない発言だったことに驚いている。

 記者A 「日本の自動車市場は不公平だ」なんてイチャモンなのに、トヨタはインディアナ州の工場に6億ドル(約690億円)追加投資し、雇用創出を図ると発表しました。TPPからの永久離脱は、ウォールストリートジャーナル紙に「安倍首相の敗北」と書かれ、「腰を据えて理解を求めていきたい」と答えていた首相も「2国間交渉についても、しっかり交渉していきたい」と言いだした。譲歩を迫られるのは確実で「ノー」と言えるのか心配になってきました。

 デスクB 「プラトーン」のオリバー・ストーン監督は「あながち悪くない」と朝日新聞に答えていた。「トランプ氏は他国の悪をやっつけにいこうなどとは言わない」。アメリカファーストだから、イラク戦争は膨大な資産の無駄だったと考えるし、軍事介入主義を捨て、戦争への道を避けると。ただ、日本にとっては米軍駐留経費をはじめ防衛費の増額を求められることになるのだろうけど。

 記者B 都民ファーストの小池さんは、予算案発表で「ウイ・ウィル・メーク・トーキョー・グレート・アゲイン。誰かの言葉ではありませんが、東京をもう1度、アジアのハブに引き上げる」と、早速使っていましたね。

 記者C その小池さんは6月23日告示、7月2日投開票と日程が決まった都議選の争点に豊洲市場の問題を据えました。移転の可否ではなく、これまでの都議会の議論の進め方が正しかったのかどうかを問うようです。審議を主導してきたのは都議会自民党。豊洲移転と盛り土をしないことを決めた石原慎太郎氏、安全宣言を出した舛添要一氏を支えたのも都議会自民党。改革派勢力で過半数を握りたい小池さんにとって、豊洲は都議会自民党追及の大きな材料です。

 記者D 石原氏、舛添氏らの責任追及の場として百条委員会の設置を求める声が都議会自民党内にも出始めました。賛同者はすでに2桁に達しているようです。都議会自民党分裂を仕掛ける小池さんと、小池人気に擦り寄る都議の動きは要注目です。