人はなぜ不倫に走るのか-。芸能界から火が付いた不倫騒動は、政界にも波及した。あの人もこの人も、週刊誌発のスキャンダル報道に、テレビ、ネットメディアも追随して2017年を象徴するキーワードになった。不倫する男、不倫する女、不倫をされた配偶者など、当事者1000人以上への取材を18年間続け、「人はなぜ不倫をするのか」(SB新書)の著書があるフリーライター亀山早苗氏に、話を聞いた。連載「不倫に走る人」は、3回に渡って不倫の実態、男女の心の違い、リスクについてお届けします。

 

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 -元SPEEDの今井絵理子参院議員(34=自民党)は一線を越えていないと言い、女優の斉藤由貴(51)は当初は不倫を否定した。民進党を離党した山尾志桜里衆院議員(43)は男女関係を否定した。亀山氏からどう見えたましたか

 亀山氏 何を不倫の「一線」としているのかによります。W不倫をしている主婦は性交類似行為はするけど、性交はさせない。それは不倫じゃないと言う。いずれ離婚するまでは、その一線を守っている。避妊具の有無と言う人もいる。隔てるものがあるから一線は超えていないという人もいます。

 -「一線」と言っても、千差万別だということですね

 亀山氏 実際に離婚裁判になった時に、探偵さんとかにホテルに一緒に入る写真を撮られたら、もうアウトです。不貞行為があったとみなされる。いわば「みなし一線越え」です。そして、周囲の人たちも、ホテルへ行って何もないわけがないだろうとみんなが思う。部屋で何があったか。真実は、当事者2人にしか分かりませんが。

 -不倫では肉体関係は大きな要素ですか

 亀山氏 ものすごく。不倫相手に求めるものは男性が肉体、女性が恋といわれてきたが、今は逆転している。男性が心のつながり、女性はまず肉体。不倫中の女性たちに、彼がEDになったらどうすると聞くと「会ってる意味がない」と言います。

 -男女でかなり認識に違いがあるのですか

 亀山氏 不倫中の男女が、災害が起こったときに真っ先に誰を考えるか、調査したことがあります。不倫している男性は妻も含めた「家族」でした。不倫している女性はまず、「彼氏」と「自分の子ども」が半々。その次に「自分の父母兄弟」、その次が「夫」でした。女性の方が本能的なんでしょうか。非常事態が去った時になって不倫している男性も彼女が気にかかってきますが、時既に遅し。そのころには女性の方が、怒っていて、メールがブロックされたり、連絡が取れなくなっている。(続く)

 

 ◆亀山早苗(かめやま・さなえ) 1960年、東京生まれ。明大文学部演劇学専攻卒業。フリーライターとして活動を始める。女性の生き方、恋愛、結婚、性の問題に取り組む。著書に「不倫の恋で苦しむ男たち」「不倫の恋で苦しむ女たち」「夫の不倫で苦しむ妻たち」「セックスレス そのとき女は」などがある。このほか、災害関係の取材も続けている。