千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第8回公判が14日、千葉地裁で開かれ、初めての被告人質問が行われた。事件は警察の捏造(ねつぞう)として無罪を主張する渋谷被告は、遺族の目の前で「子どもから目を離さないのは、親の義務」「守れるなら守ってあげてほしかった」などと述べた。

 リンさんの父親ハオさんは被告人質問終了後に会見し、「被告の口から出た言葉を聞き、私の中では今日、リンちゃんを殺害した犯人が渋谷恭正だとはっきり分かりました」と話した。ハオさんがいた検察側席からは、弁護側質問の最後に被告が「涙」を出したのが見えたといい、「自分を守るために装うための涙だと思った」と話した。

 弁護側質問で、これまでに出廷した証人たちの証言の多くを被告が次々と否定したことを「被告はまったく話さないとも思ったが、よく話した。話をさせた弁護人に感謝したい」とも話した。「証人全員がうそを言っているとはだれも思わないと思う。いまから謝ったとしても、もう遅い」とした。