大正から令和まで、4時代を生きた作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日、心不全のため、京都市内の病院で死去した。99歳。06年に文化勲章を受章した。

寂聴さんの死は11日、公式サイトで発表された。

「作家・僧侶の瀬戸内寂聴は、2021年11月9日、永眠いたしました。享年99。先月より体調不良のため、入院、加療しておりました。葬儀は近親者のみで執り行います」

瀬戸内さんは近年、2度の圧迫骨折とがんを患うなど、体調不良が続いていた。88歳だった10年秋に背骨、92歳だった14年5月末には腰部を圧迫骨折した。腰部の骨折で約1カ月、入院し、同8月下旬に再入院すると、今度は胆のうがんが発見された。寂聴さん自ら決断し、同9月に摘出手術を受けたこともあり、同年内は法話や講演、執筆などの仕事を休んでいた。

翌15年4月に京都市の寂庵で開かれた花祭りで開いたミニ法話の中で

「死に損なって今日を迎えることができました」

「(骨折の)痛みで『神も仏もあるものか』と思っていたが、長い入院でがんが発見された。やっぱり仏様が守ってくださった」

「寝たきりになるかもしれないという恐怖があったが(回復は)全国の方々が私のために祈ってくれた力だと思います」

などと語っていた。

その中、今年6月にはミャンマーで国軍が市民への弾圧を強めている状況を憂慮し、音楽家の坂本龍一ら文化人約60人で「ミャンマーの人々に寄り添う」と宣言し、日本政府に民主主義の回復に向けた取り組みを求める共同声明を出すなど、活動を続けていた。