阪神が今年国内FA権を取得したオリックス西勇輝投手(27)が権利を行使した場合に備え、4年総額20億円級の超大型契約を準備することが30日、分かった。シーズン中から熱心に本格調査を続け、FA選手の獲得候補を西に一本化。本気度マックスで参戦態勢を整え、右腕の動向を見守る。

虎は本気だ。シーズン中から獲得調査を続けてきたオリックス西を来季の大逆襲に必要なピースだと結論づけたもよう。FA宣言した場合に備え、出来高を含め、4年総額20億円に迫る超大型契約の準備に入っていることが判明した。

球団は金本前監督の続投を前提としてオフの補強プランを練っている段階から、有力な獲得候補として西をチェックしてきた。金本前監督が極めて解任に近い形で電撃辞任した後も、ブレることなく調査を継続。矢野阪神誕生後は、獲得候補の筆頭に西の名前を置いていた。当初は現場の意向もくんで西武浅村を積極的に調査した他、救援左腕の日本ハム宮西にも注目してきたが、FA宣言期間が近づく中でいよいよ候補を西に一本化。権利を行使した場合に備え、万全の準備を整えに向かう。

西は14年からの5年間で2ケタ勝利を4度記録。今季も10勝するなど抜群の安定感を誇り、27歳という若さも大きな魅力となっている。今オフのFA選手の中でも人気銘柄となっており、残留交渉を続けるオリックスの他にも、ソフトバンク、中日など複数球団が熱心に獲得調査を進めている。仮にFA宣言すれば他球団が4年前後の大型契約を用意することは確実な情勢。それだけに、虎も対抗できるだけの大型契約を準備しておく必要がある。

球団はすでに今オフの大補強に向け、大きく動きだしている。今月26日には大阪市内の電鉄本社で定例報告会が行われ、坂井オーナー、次期オーナー就任が内定している阪神電鉄・藤原会長のもとに、揚塩球団社長や谷本球団副社長兼球団本部長、嶌村球団副本部長が集結した。ここでドラフト会議の指名報告などがなされる中、今オフの補強予算に関する議題も出たもよう。電鉄側もバックアップする方針で、補強予算を最低でも8億円以上用意する見通しだった。さらに資金面を上乗せしているとみられ、西への本気度が伺える。

ドラフト会議では野手中心の指名でセンターライン強化を図った。今後は3人程度の新外国人選手補強を狙うと同時に、西の動向へのチェックも一気に強めていく。来るべき時に備え、準備だけは怠らない。

◆西勇輝(にし・ゆうき)1990年(平2)11月10日生まれ、三重県出身。菰野3年夏に甲子園出場も初戦敗退。08年ドラフト3位でオリックス入団。3年目11年に頭角を現し10勝をマーク。12年10月8日ソフトバンク戦のノーヒットノーランは、2リーグ分立後初のシーズン最終戦での達成。17年8月に打球直撃で左手骨折も、今季10勝と復活した。18年の年俸は1億2000万円で、今季オリックス日本人選手ではBランクに該当する4位(金額、順位は推定)。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。