自民党は13日、東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)に向けた総決起大会を都内で開き、小池百合子都知事が事実上率いる都民ファーストの会への激しい対決姿勢を示した。小池氏と関係が悪い菅義偉官房長官も出席、「パフォーマンスで戦う候補に負けるわけにいかない」と、ゲキ。幹部が小池氏を名指しで批判することはなかったが、実際に戦う候補者からは「ファーストの首を取り、百合子の手足をもぐ」と、物騒な発言も飛び出した。

 自民党本部で開かれた総決起大会は「反・都民ファースト」一色だった。メッセージを寄せた安倍晋三首相は「小池知事と東京の自民党の間には少し隙間が残っているかもしれないが、そんなことを気にしてはいけない。東京を良くするため、自民党は小池氏とも協力して結果を出す」と小池氏との連携に触れた上で、「急に誕生した政党に、都政を支える力はない」と、都民ファーストを批判。「結果を出せるのは自民党だけだ」と訴えた。

 その後、小池氏とは関係が悪い菅氏が、政権幹部として党の会合に異例の参戦。都民ファーストは批判しても小池氏との全面対決は避ける首相より、言葉は辛辣(しんらつ)だった。

 「何とかファーストの会という新しい政党は、まだ何をなすべきか見えず、候補も全員決まっていない」「人によっては直前に決めるというのは、ファーストでなくラストではないか」と、目玉候補のサプライズ発表を狙う小池氏側の戦略を皮肉った。「パフォーマンスやイメージで戦う候補に、負けるわけにいかない」と、ゲキも飛ばした。

 小池氏が都の全額負担を表明する前に官邸が主導権を奪った、20年東京五輪・パラリンピックの仮設施設整備費問題や、築地市場の豊洲移転問題にまで触れ、「もっと早くやってくれればいいのに」「早く判断してほしい」と指摘した。

 自民党は今回、全42選挙区に60人を擁立。「国政選挙以上の態勢」(下村博文都連会長)で臨む。小池ブームを受けて逆風には変わりないが、一部の激戦区では巻き返しているという。そんな流れもあってか、現場で戦う候補者からは「知事の取り巻きだけを増やす選挙ではいけない」と、小池氏を意識した発言が相次ぎ「都民ファーストの首を取り、百合子の手足をもぎ取る」と、物騒な発言も飛び出した。告示まで、約40日。血気盛んな決起大会になった。【中山知子】