【リエージュ(ベルギー)22日】日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が、最終サバイバル第1弾の号砲を鳴らす。今日23日のマリ戦に向けて公式会見に出席。用意された20分間が質問2問で終わるほど熱弁し、当落線上の選手に奮起を求めた。日本がW杯(ワールドカップ)ロシア大会の1次リーグ敗退候補とも認めた上で複数の新顔を抜てき。「偉業(突破)」に必要な人材かどうか、ふるいに掛けられる。

 W杯まで3カ月を切っても、3年ぶりの対アフリカ勢となる仮想セネガル戦でも、ハリルホジッチ監督は競争原理を働かせる。マリ戦の前日に非公開で行った公式練習では、DF宇賀神やMFの大島と森岡ら、新鮮な顔触れが先発組に起用された模様。宇賀神は左SBの3番手で招集されていたが、右SBの酒井宏と遠藤の負傷を受けて右へ配置転換。国際Aマッチ出場ゼロの男が、選考の最終コーナーでいきなり試される。

 公式会見では、質問2問で20分間を使い果たすほど燃えさかった。仏レキップ紙に掲載されたフランス代表FWグリーズマンのインタビューを紹介し「世界有数の選手が生活管理も怠っていない」。感銘を受けるやいなや、選手に伝えたといい「W杯直前に体脂肪率のような愚かな話はしたくない」と危機感を表した。

 だからこそ、心を鬼にして選考する。昨年8月、W杯出場を決めた最終予選オーストラリア戦の先発11人中5人しか、今回マリ戦の予想スタメンに残っていない。前回14年W杯のアルジェリア監督時代には、イングランド2部のMFマフレズ(現レスター)を直前に抜てき。既存選手に安定を許さない男は「私は心が広い。多くの選手にチャンスを与えたい」と言った。同時に「(負傷中の吉田)麻也(酒井)宏樹(香川)真司にいてほしかった」と実名も。試す選手に対する、結果を出せなければ今回不在の主力に取って代わられる、というメッセージだ。

 選手によると、20日のミーティングでは「このままでは1次リーグ突破は難しい」と断言した。続けて「幻想的な夢(上位進出)を抱かず、偉業(突破)を成し遂げる準備をしよう」とも。5月14日までに予備登録メンバー35人を選び、30日の親善試合ガーナ戦(日産ス)の翌31日に23人を絞り込むと公言している指揮官は「私が厳しい要求をしているのではない。W杯が厳しい要求をしてくるのだ」と哲学的に話し、鼻を高くした。この監督を悩ませる戦力が出るかどうかがマリ戦の焦点だ。【木下淳】