<テニス:全米オープン>◇第10日◇3日(日本時間4日)◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター◇男子シングルス準々決勝

 世界11位の錦織圭(24=日清食品)が、戦後初の4大大会ベスト4に進出した。今年の全豪覇者で同4位のスタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)に3-6、7-5、7-6、6-7、6-4の4時間15分のフルセット勝ち。全米では1918年(大7)の熊谷一弥(くまがい・いちや)以来96年ぶり、4大大会では33年(昭8)ウィンブルドンの佐藤次郎以来81年ぶりの4強入りとなった。

 錦織の原点、松江市・グリーンテニスクラブの柏井正樹コーチ(54)は、小学生時分の思い出を懐かしんだ。「ボールコントロールは100人に1人でゲームセンスも100人に1人。2つ合わせて1万人に1人の天才だった」。

 6歳で通い始め、一番下のクラスだった初日から才能を発揮。教えていないのにストレート、クロスとボールを打ち分け、たった1日で上のクラスに進級した。小学6年の全国大会で優勝すると、あるテレビ局が取材に来た。ショットの正確性を示すため、ベースラインに空き缶を置き、狙い打った。NGなしの一発OKで周囲を驚かせた。

 ケガの錦織に完治するまで休養を厳命したことがあった。すると錦織は「僕にテニスとビデオゲームをやめろって言うのは死ねというのと一緒だ」と母に怒りをぶつけた。子供のころから備わった才能と、テニス愛が偉業につながった。