<大相撲名古屋場所>◇2日目◇8日◇愛知県体育館

 綱とりに挑む大関稀勢の里(27=鳴戸)が、2連勝した。くせ者でならす西小結の時天空(33)を右上手投げで一蹴。白星を並べた。98年7月の3代目若乃花以来となる日本人横綱誕生へ期待が高まる中、同郷ならびに親交あるアスリートからもエールが届いた。

 想定とは違っていた。それも良い方向に。奇襲もある時天空を相手に、稀勢の里の警戒心は強かった。だが、張ってきた相手を組み止めると、左おっつけで前に出て、最後は右上手投げ。4秒1であっさりと仕留めた。「ああなるとは思わなかったので、びっくりした」。自らの予想を上回る圧勝で、白星を並べた。

 3代目若乃花以来、15年ぶりの日本人横綱誕生に挑む孤高の大関。そこに、2人のアスリートから言葉が届いた。プロ野球楽天の美馬学投手(26)と、競馬の三浦皇成騎手(23)。同い年の美馬とは隣町で、中学野球で数度対戦した。投げ合ったこともあり、覚えているスコアは0-0などの僅差。「彼はセンスがいいイチローのような打者だった。150キロ投手になったのにはびっくり。ずっと見ています。自分は応援しているけど、向こうは知らないでしょうね」。鮮明に記憶に残る大関に対して…。

 美馬

 覚えてます。すごく印象に残ってます。僕はあまり人を覚えられないんですけど、覚えてました。体がすごく大きかった。いい試合をした記憶があります。球も速かったし、打撃も良かった。野球もすごくうまかった。中学が終わって相撲をやると聞き「えっ」と驚きました。今、日本人の横綱はいないですよね。地元のスーパースターなので、みんなが誇れるような強い横綱になってほしい。すごく応援しています。今年のオフに知人を介して一緒にご飯に行く話もしていて、楽しみにしてます。

 三浦とは10年夏に雑誌の企画で対談。以来、親交を深めてきた。競馬G1レースの前には「G1、頑張って」とメールも送る仲だ。

 三浦

 おおらかな人で会話も結構はずみ、楽しく対談させていただきました。日本人でそこ(大関)まで行ける人なんだと、素直にすごいと思っています。やっぱり本場所中は、テレビに目が行っちゃいます。

 そんな三浦は、稀勢の里を「人生の先輩」と仰ぐ。

 三浦

 つらい経験を乗り越えていく精神力と言うんでしょうか、それがあります。人生の先輩として尊敬しています。自分がつらかった時の心境も理解してくれる。とにかく頑張ってほしい。まだ生で相撲を見たことはないけど、初めて見るのは、稀勢の里関が横綱になったときに行きたい。

 「状態はいい。これからです」という稀勢の里を、熱いエールが背中を押す。力に変えて3日目は、稽古で苦杯をなめた栃煌山を迎える。【今村健人】

 ◆美馬学(みま・まなぶ)1986年(昭61)9月19日生まれ、茨城県取手市出身。藤代高2年の03年春にエースで甲子園出場。中大-東京ガスを経て10年ドラフト2位で楽天入団。2年目の昨季は23試合で8勝10敗、防御率3・08。右投げ。最速153キロ。169センチ。

 ◆三浦皇成(みうら・こうせい)1989年(平元)12月19日生まれ、東京都練馬区出身。08年3月1日の中山競馬でデビュー(6着)。この年JRA91勝を挙げ、87年の武豊騎手の新人最多勝記録(69勝)を21年ぶりに更新。11年9月にタレントのほしのあきと結婚。