【第135回】
前立腺がんと症状同じ
前立腺肥大症(上)
「トイレに行く回数が多くなる頻尿。特に夜中に何度となくトイレに行く夜間頻尿。これを50歳以降の男性が訴える場合は、前立腺肥大症による排尿障害が疑われます」と、新宿石川病院(東京・新宿区)泌尿器科の三木誠顧問(70)は言う。
男性の宿命ともいわれる前立腺肥大症の症状はそれだけではない。「尿の勢いが弱い」「残尿感がある」「排尿に時間がかかる」「腹部に力を入れないと排尿が難しい」などがある。このような症状が出てくるのは、前立腺のある場所にも大きく関係している。
前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱(ぼうこう)の出口にあって精液の一部、前立腺液を分泌している。クルミ大で尿道を包むようにしている前立腺は外側と内側の外腺、内腺に区別され、加齢に伴って組織が変化する。
「前立腺がんができるのは外腺です。ところが、内腺は部分的に肥大してきます。肥大しなくても硬くなるのです。すると内腺は外側へ拡がれないので内側の尿道を圧迫します。これが前立腺肥大症です」。40歳くらいから組織上は変化が始まり、50歳以降に症状として出てくるケースが多い。
加齢に伴うこの変化の原因は、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの変化などといわれているが、まだはっきりとは分かってはいない。
また、前立腺肥大症では前立腺がんとの関係も議論にあがる。「肥大症は50歳以降、がんは60歳以降。だから、ほとんどの男性が肥大症のあるところにがんができる。つまり、肥大症に合併してがんができるのであって、肥大症ががんを発症させるのではありません」。
ただし、前立腺肥大症も前立腺がんも症状は同じなので、排尿障害に気付いたら勝手に前立腺肥大症ときめつけず、しっかりと診療を受けるべきであるのである。
▼前立腺肥大症と男性ホルモン 前立腺肥大症は男性ホルモンが関係していることは分かっている。それは、睾丸(こうがん)を取り除いた男性は前立腺肥大症を起こさないからである。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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