【第161回】
脳梗塞t−PA今秋認可へ
脳卒中(下)
脳卒中は目覚めたときに麻痺(まひ)を起こしていた、というケースが多い。とにかく周囲の人が発見したら、また、本人が気付いたら、すぐに救急車を呼んで脳卒中センター、神経内科、脳神経外科へ−。
正確な診断・治療のためにCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)の画像診断が、まず行われる。
「CT検査をして出血がなければ脳梗塞(こうそく)の治療に入っていきます。ただ、初期の脳梗塞の病巣範囲はCTでは分かりません。その点、MRIは超早期でも脳梗塞が分かります」と言うのは、東京逓信病院(東京・千代田区)脳神経外科の野口信副院長(53)。
この脳梗塞でも「心原性脳塞栓症」や「アテローム血栓性脳梗塞」の治療に発症から3時間以内であれば「血栓溶解療法」の有効性が科学的に認められている。「血栓溶解療法には血栓溶解薬『t−PA』を点滴で静脈投与します。米国では使われていますが、日本では心疾患では保険適用されているものの、脳梗塞での承認はまだです。伝え聞くところでは今秋には認可されそうです」。
このt−PAの静脈投与も3時間以内では大きな効果を発揮するが、脳血管内治療で行うと、さらに効果は上がる。脚の付け根の動脈からカテーテル(細い管)を脳血管の梗塞部分に送り込み、そこでt−PAを投与するのである。脳梗塞の超早急性期治療として医療現場では1日も早い承認が待ち望まれている。
脳梗塞でも「アテローム血栓性脳梗塞」や「ラクナ梗塞」では、前者が抗凝固療法。後者では抗血小板療法が第1選択肢となっている。
今日では「脳梗塞では死なない」が常識で、いかに障害を最小限にとどめるか、それには、1分1秒でも早く専門病院に運ぶことが重要である。
▼t−PA 血栓溶解薬。プラスミノゲン・アクチベータの略称。血液が凝固するとフィブリン血栓ができ、それを溶かすのがプラスミンという酵素。t−PAはそのプラスミンを活性化する作用がある。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
|