ブラジルのメディアは26日、弾劾手続きで停職中のルセフ大統領が8月5日のリオデジャネイロ五輪開会式への欠席を決めたと伝えた。ルセフ氏を追い落とす形で、5月から大統領代行を務めるテメル副大統領との政治対立が背景にある。ホスト国の政治対立は五輪の熱気に冷や水を浴びせそうだ。

 ルセフ氏の後ろ盾で、五輪招致に尽力したルラ前大統領も欠席する方針。ルセフ氏は、五輪準備に携わってきたことから「この五輪の母親のように感じている」と出席の意向を示していたが、最近のフランスメディアのインタビューで「脇役として参加するつもりはない」と述べた。

 マラカナン競技場で行われる開会式には歴代ブラジル大統領が招待されている。ルセフ氏には、開会宣言するテメル氏と鉢合わせしないよう特別席が用意される予定だった。

 ルセフ氏は国家会計を不正に操作、粉飾したなどとして弾劾手続きを受けており、8月21日の五輪閉会後、上院で失職の是非を問う最終投票が行われる予定。ルセフ氏が失職し、テメル氏が正式に大統領になるとの観測が強まっている。