団体総合の金メダル奪還に暗雲が垂れこめた。団体総合、個人総合、種目別の決勝進出を懸けた体操の男子予選が行われ、04年アテネ以来となる3大会ぶりの優勝を目指す日本は1班で登場。エース内村航平(27=コナミスポーツ)が得意の鉄棒で落下して種目別決勝を逃すなど、各選手がミスを連発し、合計269・294と得点は伸び悩んだ。

 地元ブラジルを抑えて何とか1班の1位にはなったものの、予選5位だったロンドン五輪の270・503点さえ下回る得点。「予選がすべて。金メダルをとれるかは、ほとんど予選で決まる」という内村の言葉を借りれば、その可能性は低くなったといえる。

 青写真は、いきなり崩れた。1種目目のあん馬で田中が落馬し、2種目目のつり輪でも加藤がミス。他の選手の得点も伸び悩んだ。その後も山室が跳馬で着地をミス、平行棒では落下するなど不安定な演技が続いた。5種目目の鉄棒を終えた時点では、ブラジルに1点以上の差をつけられ2位に甘んじる始末だった。

 3日の会場練習では、器具への対応が不十分なことを露呈した。会場の寒さも選手の体を硬くした。この日は地元ブラジルと同じ班で、スタンドの大歓声に動きが狂わされたのかもしれない。

 5人の目標は「団体金メダル」だけだ。個人総合で連覇を狙う内村も「個人戦より団体戦」と言い切ったし、床運動世界王者の白井も「個人は団体が終わってから考える」と話した。団体金メダルを意識して予選を目指しただけに、ショックは小さくない。7日の団体決勝、さらに個人総合、種目別に向けて男子体操が厳しい状況に追い込まれた。

 ◆内村航平のコメント

 鉄棒は普段落下するところではない箇所ですごく悔しい。チームとしてもミスが出てしまった。これが五輪という舞台。過信があったのかもしれない。