東京五輪では、ほとんどの五輪競技会場が無観客での試合を実施しているが、屋外競技では場所と角度によっては競技の一部をうかがえる“場外観戦”ポイントがいくつかできてしまっている。

1日、BMXパークの決勝会場となった東京・有明アーバンスポーツパークの周辺にはファンが集結し「生の五輪を体験したい」「夏休みの思い出に」「テレビでうつっていたので来てみた」との理由で選手に声援を送った。

会場すぐ横のゆりかもめ有明テニスの森駅には30人ほどが集まった。福岡県在住の女性は「本当は柔道の混合団体のチケットが当たってたんですが、娘が東京に住んでいるから飛行機のキャンセルはせずに上京しました。ここなら試合がみられると思って寄ってみた。ちょっとだけ演技がみえるんですね。しかも警備は福岡県警のみなさん。ご苦労さまです」と5分ほど滞在し「これから娘と台場で観光してきます」と新橋方面行きの電車に飛び乗った。

駅ホームでは福岡県警の警察官4人とゆりかもめの職員約10人が警備に当たった。関係者は「五輪の試合を生でみたいのはよく分かるんです。排除はしないけど、でも車両が入ってきて、お客さまの乗降の際に接触しないかなどをみておかないと」と話した。

駅近くの有明北橋では約200人が集まり、応援した。徳島県警の警察官15人前後が橋を通行する人や自転車との安全を見守り「みなさん、密になっているので、マスクは絶対着用して、ルールを守って観戦してください」と新型コロナウイルス対策を訴えながらハンドマイクで呼びかけていた。

40代の男性は「ここなら会場でのアナウンスを聞こえるし雰囲気は味わえる。それと振り返ると別の会場から選手村に移動する何の競技か分からないけど選手を乗せたバスも通過するから手を振って気持ちを送ることもできる」と周囲に視線を配っていた。表彰式間際に来た親子は「すぐ近所なんです。テレビをみていたら、近い場所だったんで自転車で息子ときました。オーストラリアの国旗がポールに掲げられましたけど、意外にすぐ降ろされちゃうんですね。生の五輪をようやく味わえました」と息子の頭をなでていた。

日の丸コスチュームで現れた増井孝充さん(52=三重県津市)は「この周辺を歩きまくって観戦できる場所を探してここにたどり着いた。中村輪夢、豆粒みたいだけどちゃんと分かりました。来てよかった」と富士山のかぶりものにマスク姿で応援し「あと2種目ほど狙っている競技あるんですよ」と橋から離れていった。【寺沢卓】