W杯は内容ではなく結果がすべてだ。日本はポーランド戦で負けたが、1次リーグ突破という「結果が出たからよかった」と言い、ベルギー戦で負けても「内容はよかった」と言う風潮だ。それって矛盾していない? すべてポジティブでは、足りないところが見えてこない。負けを認めないと、反省はできない。

試合後、涙する乾(中央左)をねぎらう原口(撮影・江口和貴)
試合後、涙する乾(中央左)をねぎらう原口(撮影・江口和貴)

 今大会の日本では柴崎が目立っていた。彼は「パサー(パスする人)」だ。特に長いパスが褒められていた。だが、相手のゴールから遠いところでプレーしている。もっとドリブルやシュートを磨かないと、ビッグクラブには行けない。ちょうどいいお手本がベルギーのE・アザールやデブルイネだ。日本は「パサー」のように代名詞がつくと、そのプレーばかりになりがちだ。その柴崎も4年後は30歳、「ドリブラー」の乾は34歳、「ポストプレーヤー」の大迫は32歳になる。

ボールをキープし敵陣をうかがう柴崎(撮影・江口和貴)
ボールをキープし敵陣をうかがう柴崎(撮影・江口和貴)

 勝っている時間帯に倒されても、すぐに立ち上がる。ネイマールじゃないが、少しは時間を使えばいい。ベルギー相手に警告1枚(柴崎)だけというのも、さすがフェアプレーポイントで勝ち上がったチームらしい? のだが、負けたら次がない中ではファウル覚悟のプレーも必要だった。ブラジルでは「マリーシア(ずる賢さ)」という言葉があるが、日本にも「要領よく」といういい言葉があるじゃない。

 既に敗退したドイツやアルゼンチン、スペインは国民やメディアから猛批判を浴びているはずだ。ブラジルやイタリアでは、負けたら「批判ばかりの討論番組」を必ずやる。それは強い国だから。日本も「胸を張って帰ってこい」ではなく「負けたらけしからん」という世論に、いつかなってほしい。それは日本が本当に強くなった証しになる。(日刊スポーツ評論家)