【マスカット6日】初招集の日本代表FW南野拓実(20=ザルツブルク)が新機軸を打ち出す! オーストリアからドイツ経由で現地入りし代表初練習に参加した。移籍2年目の今季、6得点でオーストリアリーグ得点ランク2位の実績をひっさげ、U-22からA代表に初招集。若くして海外クラブ所属で代表入りしたのはFW本田圭佑(29=ACミラン)ら数人だが、デビュー戦ゴールは1人もいない。W杯ロシア大会アジア2次予選シリア戦(8日)での偉業達成で、リオの新星が下から突き上げていく。

 マスカットの西日を浴びながら、南野は少し遠慮気味に集団の最後方に入ってランニングを行った。A代表では“新人”とあって、気を使って声を掛ける岡崎と言葉をかわした。初練習を終え「小さい頃からここに来たかった。レベルの高い選手とやれる喜びを感じた。チームでの結果が(初招集に)つながっていると思うから、自信を持っていきたい」。20歳の新星は、緊張感を漂わせると同時に、自信を口にした。

 海外挑戦2年目で、初めて選ばれた代表の舞台。発した言葉通り、結果を残して今一番勢いに乗る若武者だ。4日の首位ラピッド・ウィーン戦で豪快な同点弾を決めたばかり。リーグ戦6得点で得点ランク2位のほか今季公式戦は14戦9得点。昨季の17試合3得点から驚異的な成長曲線を、数字が物語る。得点力に頭を悩ませるハリルホジッチ監督も放っておかなかった。

 Jリーグ時代に代表経験がないまま海を渡り、海外組として初招集を受けたのは、本田と同じ道だ。海外組が増えた近年こそ珍しいパターンではないが、代表に定着したのは本田のほかDF吉田、酒井高のみ。海外の厳しい環境の中でも着実に成長し、代表レベルで戦い続けることは簡単ではない。しかも、海外組として代表デビューゴールとなれば、史上初のケースになる。その最初で最後のチャンスが、この合宿で巡ってくる可能性が高い。

 現時点ではクラブと同じ右FWとして本田の2番手。しかし左右両方できる特性から、左でのチャンスもある。五輪世代からのA代表入りは一見輝かしいようで、実は逆境ともいえる環境だが「(パスを)しっかりと要求していきたい。動きだしのところ。チャンスがあれば攻撃のところで持ち味を出したい」。前人未到のデビュー戦ゴールをたぐり寄せる。【栗田成芳】

 ◆海外組の代表デビュー 1人目は01年10月4日セネガル戦に途中出場したMF広山望(セロ・ポルテーニョ)。パラグアイリーグでプレーする中、欧州遠征を行うトルシエジャパンに招集。同遠征ではナイジェリア戦(同7日)にも出場した。以降は岡田体制で本田(VVV)、森本(カターニア)、吉田(VVV)。ザック体制で宮市(ボルトン)、酒井高(シュツットガルト)、大津(VVV)。南野が出場すれば、8人目となる。