手倉森ジャパンが実戦形式で、大柄な選手をそろえるアジアのライバル対策を施した。来年のリオデジャネイロ五輪出場を目指すU-22(22歳以下)日本代表候補は、佐賀市内で福岡大と練習試合(40分×2本)を行った。来年1月の同五輪アジア最終予選で対戦する北朝鮮や中東勢を想定し、福岡大に180センチを超える選手をずらりとそろえさせた。

 もともと小柄な選手が多いU-22日本代表候補が、この日は一段と小さくみえた。豪雨の佐賀県総合運動公園陸上競技場。キックオフ前から、ぬれたユニホームが身体に張り付いた手倉森ジャパンの前には、えんじ色の大きな壁が立ちはだかっていた。

 「福岡大ならあれくらいやってくれると思っていたから」と手倉森誠監督(47)。192センチFW、188センチMFをはじめ、フィールド選手の平均身長181・4センチの巨漢大学生軍団。同174・2センチの手倉森ジャパンを、実に7センチ以上も上回っていた。開始直後は高さで押され、186センチDF岩波も必死の空中戦を強いられた。

 攻撃時もリーチの長い福岡大守備陣に、パスをからめ捕られたり、ドリブル突破を封じられる場面もあった。それでも徐々に対応し、MF関根らのスルーパスから相手DFの背後を取って、主導権を握った。

 岩波は「大きな相手とやって、北朝鮮や中東勢対策の意識付けができた」とうなずいた。結果はスコアレスドロー。しかし手倉森監督は「得たものは大きい」と満足げだった。試合開始直前には、選手を残してロッカールームから去った。「そうしたら選手同士で、試合に向けて熱く話し合っていたようです」。自主性や密なコミュニケーションを、うまく引き出した。

 前日夜のビデオミーティングでは、これまでの対外試合や、今回の合宿の攻撃練習の映像をみせ、相手の背後を狙う理想の攻撃イメージを焼き付けた。この日は狙い通り、相手の裏に抜け出す場面が何度もあった。来年1月の最終予選に向け、着々と準備を進める。