09年1月の日本選手権が仙台大で開催されていたので初めて同行。「日本一になり感動した」と、そこから競技にのめり込み、同年3月には初めて非公式大会に参加。ただ公式戦となると、選手は男子がほとんど。「男子は当たりが強いので、やりづらさはある」。サポート役に徹した。

 卒業後に地元に帰り、12年に運営担当の増田茂樹さん(40)らとコルジャ仙台を設立。当初は人数不足もあり、サポートではなくガイド(攻撃時に選手にゴールの位置や距離、タイミングなどを声で伝える役)を務めた。ただ競技は未経験で技術的指導ができないもどかしさもあった。創立5周年を迎えてクラブの規模も大きくなってきた。「視力も限界があった。そろそろガイドは別の人に任せようかなと思っていた」と悩んでいた。

 そんな時期に女子代表が設立された。女子練習会で以前から親交があった、代表の村上監督に誘われた。「代表でやってみたい気持ちは強かった」。初合宿の3月はFWだったが、2回目の4月合宿で、DFにコンバートされた。

 初の国際大会。優勝したい気持ちはあるが、「女子だけでチームをつくるのは大変。今の自分たちがどれくらいできるのかすらわからない」。開催日時場所は決まっているが、出場国の情報が全く入ってこない。比較対象がないため、実力にまだ自信を持てない。「体力、空間認知能力がまだまだです」。完全な暗闇の中で行うため、初心者は場所がわからなくなることが多い。だが「(代表選手で)一番長く競技に関わっていますね」と言うように、競技の本質は分かっている。すでに状況把握はお手のもの。クラブの練習でも、落ち着いて足元に来たボールをシュートしていた。

 「今の自分がどのくらいできるのか知りたい。これを機に、女子代表を目指してくれる選手が増えてくれれば」。今大会後には7月の日本選手権から国内公式戦デビューを切る予定。鈴木の挑戦がこれから始まる。【秋吉裕介】