【マスカット=5日】日本代表の岡田武史監督(51)が、激変したオマーンを警戒した。オマーン協会は4日、ウルグアイ人監督のフリオ・リバス監督(51)を解任。ハマド・アザニ元代表コーチが暫定監督に就任し、この日の練習からさっそく指揮を執った。日本は2日のホーム戦は3-0で快勝したが、監督が交代したことで、相手の戦術やメンバーが変更されることは必至。新監督の情報も少なく“別のオマーン”との対戦を強いられることになった。

 ホーム戦を快勝した相手との再戦を前にしたとは思えないほど、岡田監督は厳しい表情をみせた。がけっぷちに追い込まれたオマーンが監督交代という大バクチを打ってきたからだ。

 岡田監督

 監督が代わった場合、手負いで、失うものがなくなって(向かって)くる場合と、意気消沈する場合がある。われわれが警戒するのはもちろん前者です。

 監督の交代劇がチームにもたらす士気の高揚は指揮官が誰よりも知っている。97年10月に加茂監督が電撃的に解任され、自身が監督に昇格。短時間でチームをまとめ、日本は初のW杯出場を決めたからだ。

 4日の午後にはご機嫌で日本報道陣に「元気かい」と笑顔を振りまいていたリバス前監督だったが、その夜に開かれたオマーン協会の緊急会議で解任された。この日、取材に応じた同協会のアルデルシ広報担当は「監督が代わったこと以上はコメントできない。日本の報道陣に練習は見せることはできない。私が言えることはそれだけだ」と、緊迫感を漂わせた。

 日本チームも前夜のうちからその情報を入手。しかし新監督がどんな戦術をとるか?

 までは不明だ。岡田監督は「今のところ、参考になる情報は集まっていない」と明かした。

 監督の考え方によってサッカーのスタイルは大きく変わる。前回の対戦は超守備的で、3-6-1ながら、両サイドMFも下がって5バックに近い極端なシステムだった。しかし、アザニ新監督は07年のアジア杯予選でUAEに0-1で敗れ、ユリチッチ監督が解任されたあとにも指揮を執り、本大会出場に導いた経験がある。勝利を求め、思い切った戦術をとってくる可能性もある。

 リバス前監督は2日の惨敗後、主力選手5人が欠けていたことを敗因として強調。「どこのチームもキープレーヤーが5人も抜けてしまっては戦えない」と発言していた。主力の復帰にシステム変更が加わると、2日に快勝したのとはまったく違うチームを相手にすることになる。酷暑という悪条件だけでなく、変身した相手にも打ち勝つ必要がでてきた。【井上真】