日本代表の岡田武史監督が「恩人」の訃報(ふほう)に、気持ちを新たにした。初代名古屋監督を務めた故平木隆三氏(享年77)の葬儀・告別式が5日、愛知・豊明市の高徳院愛昇殿で営まれ、岡田氏は約300人のサッカー関係者らとともに参列。「平木さんがいなければ、サッカーはしていない。こんな仕事(日本代表監督)もやってないよ」と、故人に感謝を込めて話した。

 大阪・天王寺高から1浪後に早大に入学した76年、サッカーを離れていた岡田氏を東京・渋谷の日本協会に呼び出したのが、技術委員長だった故人と昨年6月に死去した専務理事時代の長沼健氏だった。「平木さんに怒られてね。高校生でユース代表にしたのは何のためだ、って。すごく怖かった。翌日からサッカー部の練習に参加したよ」と、当時を振り返った。

 「平木さんは恩人。一番教わったのは情熱。サッカーに対するあの情熱は、とてもかなわないよ」。最後のお別れでは遺体に花を手向けて静かに祈った。6日には、総監督を務めるU-20代表合宿が大阪府で始まる。平木氏にサッカー界に連れ戻された時の自分と同じ年齢の選手を、平木氏譲りの「情熱」で指導する。