U-22(22歳以下)日本代表が「30分限定」の予行演習を余儀なくされることになった。16日、6月の12年ロンドン五輪アジア2次予選クウェート戦(19、23日)に向け、愛知県豊田市で18日までの合宿を開始。クウェートとのホームアンドアウェーで最終予選進出が決まる大一番。19日のホーム試合が豊田スタジアム開催のため同市合宿としたが、芝状態を考え、3日間で同会場を使用できるのはわずか30分だけ。アウェーでは日中の気温が40度以上になり、ホームで必勝を期す日本代表に暗雲が漂った。

 夕暮れ時の春風を受けながら、青いジャージーの五輪戦士たちが駆けたのは、豊田スタジアムの「外」だった。会場に隣接した「豊田スタジアム芝生広場」。子ども連れなどの観客に見守られながら、汗を流した。6月の五輪予選本番で使用するホームスタジアムは、近くて遠かった。

 3日間の合宿で同会場を使えるのは、17日の30分限定。理由は芝にある。21日に名古屋-柏、29日にも名古屋-福岡とJリーグの試合が控える。現在は冬芝で、7月中旬に予定する夏芝への張り替えまで保つには、梅雨時期の影響を考えると使用頻度を抑えざるを得ない。同時に、五輪予選本番を良い芝質で迎えるためにも、今回は30分の限定使用を決めた。18日の岐阜との練習試合も、別会場で行う。

 さらにその練習相手も、強豪との強化を目的に本来は昨季のリーグ覇者の名古屋にオファーをしていた。だが、日程の都合がつかずに断念した経緯がある。

 2次予選はホームアンドアウェーの“一発勝負”で最終予選進出が決まる。日中の気温が40度以上にもなるアウェー戦は、過酷な戦いが予想される。ホーム試合の重要度は、これまでの五輪予選に比べても、最も高い。本番までは約1カ月。東日本大震災などの影響で日程変更が重なり、強化は決して順調とは言えない。さらに限られた時間、場所のなかで、関塚監督の手腕が問われる。【阿部健吾】