日本代表のFW本田圭佑(24=CSKAモスクワ)が、新人の宇佐美貴史(19=G大阪)を一番弟子にする。5月31日、ロシアから帰国して新幹線で新潟に移動。今日1日のキリン杯ペルー戦に臨む日本代表の練習に合流した。ピッチに入ると初招集で最年少FW宇佐美に気さくに声を掛けた。本田は中学時代に京都府の宇佐美の実家を訪れたことがあり、名実ともに「本田部屋」の一番弟子に。過密日程の中でも代表チーム底上げのため、短期間でチームを1つにする。

 練習に合流した本田は、気さくにチームメートに声を掛けた。新加入の宇佐美を見つけると、「大きくなったなあ」と懐かしそうな顔で切り出した。最近は自分からチーム内のコミュニケーションを取るように心掛けている。それでも、本田にとって宇佐美は「特別」だった。

 本田は中学時代、サッカーをしていた宇佐美の兄卓也さん(24)と知り合い、京都・長岡京市内の宇佐美宅を訪れていた。「自分が小2か小3のときやったかな」と宇佐美は振り返る。宇佐美本人の記憶は薄いが、本田が出場した日本代表戦がテレビで流れると、母美紀さんや兄から「本田君は家に来たんだよ」と何度も聞かされていた。

 日本代表のピッチでその本田に声を掛けられた宇佐美は「プレーもそうですし、どうやって生活してるかも知りたい。全部かっこいいな~」と興味津々だった。

 本田はこの日午前8時半頃、成田空港に到着した。新品のイタリア製クロコダイル革の靴を、靴下なしで履きこなし登場した。到着ロビーではCSKAモスクワのユニホームを持って待機していたファンへ気さくにサインもした。ロシア杯のタイトルを引っさげての帰国に「正直うれしかったですね」と喜びを隠さなかった。

 しかし、正午前に新幹線で新潟駅に入った時には一転して代表モードに切り替わっていた。待ち受けていたファンを前に険しい表情で素通り。代表チームの待つホテルへ向かった。もっともチームではムードメーカーだった。遠藤は言う。「食事会場では盛り上げるし、自分からどんどん積極的に声を掛ける。W杯(10年南アフリカ大会)から変わったね。話も面白い」。練習後も報道陣の質問には一切答えずにバスへ入ったが、その一方で初日からチームでは明るい雰囲気づくりを心掛けた。

 G大阪ジュニアユースからユースに上がれず、石川・星稜高に進学し、日本を代表する選手となった本田。一方、同ジュニアユースから飛び級でユース、トップチームへと、のし上がった宇佐美。門出は違うが今立っている場所は同じ。ペルー戦の本田の出場は微妙だが、14年W杯ブラジル大会へ向けての日本底上げに「本田部屋」は既に始動している。【三須一紀】