<ロンドン五輪アジア最終予選:日本2-1シリア>◇27日◇国立

 歓喜、そして反省。DF浜田水輝(21=浦和)が前半45分、頭で先制した。Jリーグではまだ無得点だが、6月19日に行われた五輪2次予選ホーム・クウェート戦でもCKからヘディングでプロ初ゴールを決めた「持ってる」男。元チームメートの闘莉王(名古屋)から学んだヘディング力で、価値あるゴールを生んだ。しかし後半には最終予選初失点を喫し、DFとして反省も忘れなかった。

 一進一退の攻防のなかで、均衡を破ったのは浜田だった。前半終了間際の45分、右CKからMF扇原のクロスを頭でさわって軌道を変え、ゴールへ。事前の情報で、ショートコーナーの際にはシリア選手がボールを見て足が止まる、という弱点を把握していた。「ファーで勝負だと思った」。練習から取り組んでいた形でもあり、「狙いの1つだった」と話した。

 前回のゴールを思い出させた。6月19日の2次予選ホーム・クウェート戦。MF清武の右CKからヘディングで決め、プロ初得点を挙げた。「大事なところで決められて、持っているなと思います」と少し笑顔を見せた。同代表メンバーには招集され続けているが、所属する浦和では控えに甘んじてきた。もちろんJ公式戦でゴールも挙げていない。「チームで出場するために、代表でアピールしたい」と言い続けた。そして10月15日大宮戦で先発すると、3試合連続のスタメン。安定した守備力でチームメートからの信頼も厚くなっていった。

 ヘディングの手本は、チームメートでもあった元日本代表のDF闘莉王だ。09年、浜田が浦和ユースからトップチームに昇格したとき、守備陣を引っ張っていた。先日JリーグのDFで初めて50得点を記録した得点力と、高い打点の守備力を兼ね備えた憧れの存在だった。身長は同じ185センチ。「守備ではとにかくはね返す。攻撃では、相手より高く、速く跳ぶ」と、どんどんポイントを吸収していった。

 その力が、代表の舞台でも生きた。セットプレーでゴール前に上がったときは「ジャンプして高いままをキープして、ボールを下に落とす。跳びながら、相手を抑える」。その“闘莉王セオリー”通り、制空権を握った。

 しかし守備の要としては、喜んでばかりもいられない試合だった。後半30分の失点について「3人でボールに行ったのに抜かれた。あれは絶対にやってはいけない」と反省した。

 次の目標は「代表だけでなく、レッズでも決められるようになりたい」。不動のレギュラーを獲得するため、練習を積む。【保坂恭子】