<W杯アジア3次予選:日本0-1ウズベキスタン>◇C組◇29日◇愛知・豊田スタジアム

 日本代表(FIFAランク30位)はウズベキスタン(同77位)に敗れ、14年W杯ブラジル大会アジア3次予選を3勝1分け2敗、勝ち点10の2位で終えた。アルベルト・ザッケローニ監督(58)は、初招集のFW宮市亮(19=ボルトン)を試す状況を作れず、底上げできないまま、6月3日からの最終予選に入る。現段階で最終予選トップシードの日本は、この日の負けで第2シードに降格する可能性がある。抽選次第では、強豪オーストラリア(同22位)との同組も考えられ、一転してW杯出場へ険しい道が見えてきた。

 後半38分、超満員の客席から、ため息が漏れた。3人目の交代で、DF駒野が告げられると、ザック体制では初めて、ブーイング気味の不満の声が聞こえてきた。試合前の選手紹介時に「宮市」でこの日一番の歓声が上がっており、誰もがニューヒーローの出現を待っていた。だが指揮官は、既に後半14分に、MF乾を投入した時点で、宮市の投入を諦めていた。

 試合後、報道陣から「宮市を起用しなかった理由は?

 0-1で負けていて彼の特長を生かすスペースがなかったのか?」と質問された指揮官は、静かな口調で答えた。

 ザッケローニ監督

 宮市を使うためのさまざまなコンディションが整わなかった。若い選手を初めて入れる時は、いろんな要素がそろわないといけない。彼は初めて代表チームに呼ばれて、初めてチーム戦術にふれた。あの場面で、戦術をこなせるまでは、至っていない。それより、乾を入れた方が、経験もあるしできると思った。若い選手を入れる時は、チーム全体が彼をサポートできる状態にならないといけない。

 トラップミスが続き、再三攻撃の流れを断ち切ったFWハーフナーを後半20分まで引っ張ったことは、明らかな采配ミス。カウンターから相手に先制され、チームを立て直せず、新戦力を投入できる状況を作れなかったことは、今後に響く可能性もある。2月24日のアイスランド戦でも18歳FW久保ら国内組新戦力を試さず、2月の2試合で代表底上げもできないまま、最終予選を戦うことになった。

 試合直後、昨年11月15日の北朝鮮戦(平壌、0-1)に続き、公式戦連敗した指揮官は動揺したのか「最終予選まで3カ月ありますが、それに向けて最高の準備をしたい」と話していたが、それまで欧州組を集めることは不可能だ。30分後、会見場では「欧州組は、試合をやりながらコンディションを保ってもらいたい」とトーンを変えた。最終ラウンド直前まで、同監督にできることは、選手のレベルアップを祈り、相手を分析することだけ。

 3次予選において、ウズベキスタン戦は消化試合だったが、最終予選に向けて、勝たないといけない大事な一戦だった。この日の負けで、日本は9日にクアラルンプールで開かれる組み合わせ抽選で、オーストラリアと並ぶトップシードから、第2シードに転落する可能性が高くなった。代わりに韓国(同34位)がFIFAランクで日本を上回る可能性があり、ウズベキスタンのフィジカルに屈した日本は、さらに屈強なオーストラリアと対戦する可能性が出てきた。

 カウンター対応のまずさやフィジカルの弱さを露呈、決定力不足の上、チーム底上げもできていない。3次予選では対戦相手に恵まれた日本だが、強敵ぞろいの最終予選を突破できるか-。ブラジルへ、長くて険しい道は続く。【盧載鎭】

 ◆W杯予選でのホーム敗戦

 日本がホームで試合を落とすのは、98年フランス大会の最終予選で97年9月28日に国立競技場で韓国に1-2で敗れて以来となった。公式戦でのホーム黒星も、10年5月24日に埼玉スで韓国に敗れて以来。

 ◆アジア最終予選組み合わせ抽選会の日本のシード順

 3月9日の抽選会では、同7日に発表されるFIFAランクに基づきシードが決定される。2月15日発表の同ランクでは22位のオーストラリアと30位の日本が第1シード、34位の韓国と47位のイランが第2シードに相当していた。だが、この日ウズベキスタンに敗れた日本のランキングポイントが762点から740点に下がり、クウェートに勝った韓国が714点から751点に上昇。日本は韓国にポイントで逆転され、7日発表のランクでも逆転される可能性があり、そうなれば第2シードに転落する。本戦には各組上位2チームが出場。さらに3位同士によるプレーオフの勝者が大陸間プレーオフに臨み勝てば出場が決まる。