日本代表は今日11日、埼玉スタジアムでブラジルW杯アジア最終予選のイラク戦に臨む。10日は同会場で公式練習を行った。

 日本代表のMF遠藤保仁(32=G大阪)が「ジーコの穴」を突く。イラク戦に向けて冒頭15分間だけ公開されたこの日の最終調整。日本の大黒柱は静かにストレッチをこなしながら、黙々と決戦に向けて闘志を高めていった。02年に初めて日本代表に呼んでくれたのがジーコ監督。遠藤は「感謝の気持ちしかない」と言うが、ジーコ体制時の4年間は決して日の当たる起用はしてもらえなかった。最終予選の大一番は、意地を見せる舞台だ。

 「僕はいい時の代表も、悪い時の代表も知っている。ジーコの下でいい経験をさせてもらった。でも明日の相手はジーコではなくイラク。イラクのストロングポイント(長所)を消しながら、相手の弱点を突く」

 過去を振り返り、愚痴も不満も決して言うことはない。それでも当時はMF中田英、中村俊、福西、稲本、小野ら「黄金の中盤」と呼ばれた選手に脚光が当たる一方で、遠藤はその控えだった。06年W杯ドイツ大会もフィールド選手で唯一、出番なし。屈辱からはい上がり、今がある。“恩師”との6年ぶりの再会で、圧倒的な力の差を見せたい-。そんな思いもある。

 「ピッチで活躍したい、中心に立ちたいと思いながら(当時は)やっていた。でも(6年前より)今は海外の厳しい環境でやっている選手が増えた。(世界の)トップを目指している、そんな意識を持っている選手は当時より多い」

 ジーコ体制時の06年W杯は1次リーグ1分け2敗。6年がたった今、本田だけでなく遠藤までも「W杯で優勝を目指す」と口にするようになった。

 時代は変わった-。日本の真価を、見せつける一戦になる。【益子浩一】