<国際親善試合:日本2-4ウルグアイ>◇14日◇宮城スタジアム

 ザックジャパンの守備が、世界レベルの攻撃陣を前に、またもや崩壊した。日本(FIFAランク37位)がウルグアイ(同12位)と対戦し、敗れた。コンフェデ杯を含め、欧州や南米の世界の強国との対戦は6連敗中で、6試合19失点。アルベルト・ザッケローニ監督(60)は失点のリスクを負ってもゴールを狙うサッカーを掲げているが、W杯本大会まで1年を切った現状で、世界クラスの攻撃陣に大量失点を繰り返す守備の再建は急務だ。

 またもやザックジャパンの守備が崩れ去った。世界屈指の破壊力を誇るウルグアイを食い止めることができず、失点を重ねた。ザッケローニ監督は「最近、失点の多い理由は我々のミスが多いから。そこは私の責任なので、できるだけ多くの得点の形をつくり、失点を少なくするように修正したい」と静かに話した。

 組織以前の問題だった。コンフェデ杯でも露呈した守備の「個」の力で、差を見せつけられた。前半27分、縦パス1本でDF吉田がFWスアレスに背後を取られて突破を許すと、FWフォルランに合わせられ先制点を献上。その後もフォルラン、スアレスの2トップに翻弄(ほんろう)され続けた。浅いDFラインの背後を取られ、DFラインを下げると強烈なミドルシュートを放たれた。特に前半はなすすべがなかった。

 昨年10月にブラジルに大敗した後、欧州や中南米の強国相手に6連敗中で、その間に19失点を喫している。指揮官は「多くの点を取りたいチームはリスクを負うもの。相手より1点多く取って勝つ。攻撃的なサッカーを信じている」と繰り返すが、W杯で世界上位の国々と渡り合うことを想定すれば、現状のままではあまりにもリスクが大きい。

 コンフェデ杯ブラジル戦で完敗した直後、ザッケローニ監督と主将のMF長谷部らが話し合い、選手間でも攻撃サッカーの継続を確認した。この日、再び大量失点して敗戦という現実にさらされたが、ザッケローニ監督は「我々はアイデンティティーを貫かなければならない。私はW杯優勝というリクエストを受けていない。日本と世界の強豪との差を詰めることがノルマだと考えている」とキッパリ。攻撃を軸に日本を進化させる信念を口にした。

 ただ、日本がW杯で世界の強国より多くの得点を奪うことが、果たしてできるのか。6連敗、19失点という数字が、理想までの道のりが険しいという現実を表している。この日の試合後、ザッケローニ監督は「これまでも当然多くの点を取りたいチームは失点のリスクを負うものと言ってきたが、今日は日本のミスが多かった」と強調した。強国を相手にした時に露呈する理想と現実のギャップが、W杯に向けた歩みの大きな障害になるかもしれない。【菅家大輔】

 ▼ホーム4失点

 ホームで4失点以上は、05年9月7日の親善試合ホンジュラス戦(宮城ス)で4失点して以来、8年ぶり10度目。このホンジュラス戦は5得点を挙げて5-4で勝利したが、4失点以上での敗戦は、1-4で敗れた03年6月8日のキリン杯アルゼンチン戦(長居)以来、10年ぶり9度目。