ロシアW杯のスター候補は、この男だ!

 アギーレジャパンが東京FW武藤嘉紀(22)を、9月の親善試合ウルグアイ戦(5日・札幌ド)、ベネズエラ戦(9日・横浜国際)のメンバー候補にリストアップしていることが18日、分かった。武藤は慶大に通う現役大学生ながら今季から東京とプロ契約。プロ1年目に選手層の厚い東京で、豊富な運動量とスピードを武器に定位置を獲得し、5ゴールをマークしている。すでに日本サッカー協会関係者が東京側に調査を行っている。

 現役慶応ボーイが、アギーレジャパンに名を連ねるかもしれない。東京FW武藤が、新体制初陣メンバー候補にリストアップされた。プロ1年目の慶大4年生は今季、飛び抜けた運動量にスピードあるドリブル突破で5点決めている。

 圧巻だったのは相手DFをドリブルで左右に揺さぶったゴールを含め2点決めた清水戦(2日)。試合後のヒーローインタビューで「日本代表というのも視野に入れて頑張っていきたい」と宣言した。そんなブレーク間近の新人に、日本協会も注目。すでに協会関係者が東京側に情報収集を行った。プレー面やコンディション面などの意見交換をしている。4年後のロシア大会を見据え、将来的な招集の可能性も示しているという。その情報は就任したアギーレ監督のもとに上げられている模様。協会関係者によると同監督は「Jリーグのビデオもかなりの量を見ている」という。同監督が就任決定前後に3戦3発と結果を残しており、印象に残るシーンが多いのもプラス材料だ。

 アギーレジャパンで戦う上で大きなアドバンテージもある。今季東京は4-3-3を採用し、アギーレ監督が言った「日本の基本布陣」と同じ。チームでは、前線は3トップと2トップ+トップ下を使い分けているが、武藤はいずれの布陣にも順応している。2トップではより攻撃的にゴールに向かう。前節鳥栖戦では3トップの左に入り、前線から激しくプレスをかけ、より大きなスペースでの動きを求められる中、人並外れた運動量を見せた。

 28日のメンバー発表で招集され、9月の2試合で出場できれば、珍しい現役大学生での代表デビューとなる。4年後のW杯を戦う前に、日の丸を背負った現役大学生の姿を見てみたい。

 ◆武藤嘉紀(むとう・よしのり)1992年(平4)7月15日、東京・世田谷区生まれ。松丘小時代はバディSCに所属。中学からFC東京U-15深川でプレーしユース昇格。慶応高卒業時にトップ昇格の選択肢がある中で慶大進学。12年から昨年まで東京の特別指定選手。14年からサッカー部を退部してプロ契約。J1出場19試合5得点。178センチ、72キロ。血液型A。

 ◆現役大学生Jリーガーの日本代表

 過去にはDF宮本恒靖、DF長友佑都の例がある。宮本はG大阪入団と同時に同大に進学。01年3月の卒業まで、クラブだけでなく五輪代表とA代表を掛け持ちした。長友は明大4年の08年に東京入り。同5月のコートジボワール戦でA代表デビュー。2人とも高校や大学に所属したままJリーグの試合に出場できる特別指定選手登録ではなかった。Jリーグ入り前の大学時代にAマッチ出場は、10年1月のアジア杯予選イエメン戦での流通経大MF山村和也(現鹿島)と福岡大FW永井謙佑(現名古屋)の例があるが、このときは若手主体だった。