日本代表FW柿谷曜一朗(24=バーゼル)が、みそぎのゴールで定位置獲得をアピールする。日本代表は8日、新潟市内で親善試合ジャマイカ戦(10日、デンカS)に向け、冒頭15分のみ公開の練習を実施。左FWで先発の可能性が高い柿谷はゴールへの意気込みを表した。時差ボケ対策がたたり7日の朝食に寝坊。名誉挽回のためにも、ハビエル・アギーレ監督(55)にピッチ上の結果で存在感を示す。

 皆既月食で満月が欠け始めたピッチ脇で、「天才」と称されるストライカーが言葉に力を込めた。柿谷は「監督は(1月の)アジア杯優勝のための選手を選んでいると言っていた。まずは、そのメンバーに入りたい。とにかく結果を残さないと、と思う」と話した。

 7日の朝食で寝坊という失態を犯した。「(時差ボケ対策で)とりあえず寝ないでおこうと思ったら、いつの間にか寝てしまって、訳の分からない時間に起きてしまった」。今夏、欧州移籍をしたばかり。日本と欧州を往復し、時差を調整する海外組の行動パターンに慣れようとした過程で起きてしまったミスだった。

 規律を重視し、特に遅刻を嫌うアギーレ監督は7日の練習前の円陣でチーム全体を引き締めるために「細かいところをピッチ内外で意識してほしい」とメッセージを送ったほど。柿谷も「監督は規律に厳しい?

 もちろんです」と自戒の念をあらわにしていた。

 当然、名誉挽回の場所はピッチ上だ。ジャマイカ戦は3トップの左FWで先発することが濃厚。「9月の2試合で出た課題などもミーティングで言われているし、練習は(9月より)進んだ部分もあります。左クロスを練習しておこうかなと。左足じゃないとGKから逃げるボールが蹴られないから」。アギーレ流の4-3-3へ順応するための意気込みを示した。

 所属クラブで9月は3試合のうち2試合で不出場。4日のザンクトガレン戦は先発したものの無得点で、8月31日のヤングボーイズ戦以来ゴールから遠ざかる。「9月はあまり試合に出ていないから」と冗談まじりに話したが、試合、そしてゴールに飢えている。

 天才と評された10代後半のC大阪時代に遅刻を繰り返し、J2徳島に移籍。厳しい環境で気持ちを入れ替え、選手としても人間としても一回り大きく成長した。7日の遅刻は時差ぼけ対策に取り組んでのもので、当時とは意味合いが違う。「ゴールという結果?

 試合に出た時には頑張ります。まずはジャマイカ戦に勝ちたい」。1度転んでも、ただでは起き上がらない男が、指揮官が見守るピッチ上で得点という結果を残す。【菅家大輔】