あるぞ、西野マジック!

 G大阪はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦浦和戦前日の7日、最終調整を行った。これまで大一番で数々の奇策を成功させてきた西野朗監督(53)はこの日、ミーティングで選手にスタメンを伝えない異例の行動に出た。定番布陣の2トップから1トップに変更する可能性もある。身内にももらさぬ名さい配で宿敵に先勝し、22日の第2戦(埼玉)につなげるつもりだ。

 ACL決勝進出をかけて前年覇者と戦う。西野監督には最上の舞台設定が整った。「こんな厳しい試合で、浦和とやれるほどうれしいことはない。見応えある内容になると思う」と不敵に笑う。通常、試合前日には選手にスタメンを伝えるが、今回は試合当日の開始直前まで持ち越した。“西野マジック”の気配がプンプンにおう。

 5月17日のリーグ浦和戦で大黒柱MF遠藤を先発から外して勝つなど、大舞台になればなるほど大胆采配が目立つ。今季は8月にFWバレーが電撃退団するなど、著しい戦力ダウンに見舞われながら、初のACL4強にこぎつけた。タイトル獲得へのカギを「オレの采配じゃないかな」と自負している。

 今回の浦和戦は1トップで臨む可能性がある。この日は今季リーグ10得点の浦和DF闘莉王について「オフェンスかディフェンスか分からない選手に決定的な仕事をさせたくない」と語った。G大阪の定番布陣は4-4-2だが、4-5-1で中盤を分厚くすれば、闘莉王の攻め上がりをつぶせる。

 西野監督の名采配はチーム内で敬意を込めて「カンピューター」と言われる。ゲーム主将のDF山口は「監督なら何かやってくるかもしれない。でも僕らは柔軟に対応できる」。選手交代も勝負のカギ。身内をも驚かせるひらめきで、アジア王者へ突き進む。【北村泰彦】