<アジアCL:G大阪1-2FCソウル>◇20日◇1次リーグ◇F組◇万博

 期待の新星、G大阪MF宇佐美貴史(17)が公式戦初先発初ゴールを決めた。FCソウル戦の後半19分、素早い飛び出しから右足で先制弾。17歳14日でのゴールで、今年3月の鹿島大迫を抜き、アジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)本大会での日本人最年少得点記録を更新した。チームは逆転負けしたが、すでに1位通過を決めており、6月24日の決勝トーナメント1回戦で川崎Fと対戦する。

 前を向くと、もうGKしかいなかった。宇佐美は倉田からのロングパスに反応。その瞬間、限界を超えた両足が悲鳴を上げた。足をつりながらも「コケるわけにはいかん」と必死に踏ん張り、冷静にトラップして右足を思い切り振り抜いた。芝生に両ひざをついて、つった足を伸ばしながら歓喜の声援に耳を傾けた。

 宇佐美

 (DFの裏に)走った瞬間に足がつって、ボールがどんなふうにゴールに入ったのかも分からない。もっと喜びたかったですけど、足を伸ばすのが先でした。

 17歳14日の公式戦デビューは、97年3月8日のナビスコ杯札幌戦に17歳5カ月18日で出場した稲本を抜きクラブ最年少。さらに初出場初ゴールで、ACL本大会の日本人最年少ゴール記録まで塗り替えた。前日に「3本のシュートを打てればいい」と話した西野監督も、得点まで奪う活躍に「ほとんどのプレーに可能性を感じた。ガンバの宝。大事にしたい」と最高の褒め言葉を並べた。

 宇佐美の実家に大事にしまってあるアルバムに、1枚の写真がある。まだ幼稚園生のころ。G大阪の練習場を訪れ、稲本と一緒に撮ってもらった写真だ。

 宇佐美

 2歳のころからここ(万博)に来ていて、ガンバでやるのが夢だった。ここでやれると思うと昨日の晩から緊張しました。

 新型インフルエンザの影響で、無観客試合になる可能性もあった。「いろんな意味で記憶に残る試合になった」。厳戒態勢の中で集まった6861人の観衆の前で、日本代表の岡田監督も注目する新星が、歴史に残る仕事をやってのけた。【益子浩一】