<アジアCL:(4)名古屋3-1川崎F(3)>◇9月30日◇準々決勝第2戦◇瑞穂陸※カッコ内は2戦合計得点

 名古屋が逆転で4強進出を決めた。9月23日の準々決勝初戦で1-2と敗れた川崎Fをホー厶に迎え、3-1で撃破した。延長突入間際の後半43分、FWジョシュア・ケネディ(27)が右足で決勝点を決めた。対戦成績は1勝1敗で、2戦合計4-3。ACL初出場ながら日本勢で唯一勝ち残り、ドラガン・ストイコビッチ監督(44)のもとで「日本代表」の大会3連覇を目指す。ホームアンドアウェー方式の準決勝は21、28日に行われる。

 最後はケネディの長い足が決着をつけた。2-1の後半43分。2試合の合計得点で延長が濃厚となる中、「体のどこに当ててでも、決めるつもりだった」。高さが武器のオーストラリア代表が体を折り曲げ、こぼれ球を押し込むと、雨を押し上げるような爆発的な歓声が上がった。

 第1戦のビハインドを力強くはね返し、初出場でアジア4強。第1戦まで10試合連続白星なしだった川崎Fから、約4年半ぶりの勝利。ストイコビッチ監督は「私は、歴史は壊すためにあると言ったはずだ」とニヤリ笑った。

 大胆な采配で逆転を演出した。この一戦に備え、9月26日リーグ鹿島戦(カシマ)ではケネディを前半45分で引っ込め、温存していた。中盤の底には8月に加入したMF三都主を先発起用し、技術と経験を信じて、中盤の仕切り役をまかせた。2-1の後半27分には思い切ってボランチ2人を同時に代えた。思い切った一手でピッチ上の選手に勝利への執念を伝えた。

 同監督は、選手として成功した日本を第2の故郷として愛している。納豆も好きだが、大好物はアユの塩焼き。今年も解禁直後の6月に車を飛ばして隣県岐阜の山奥まで食べに行き、ひとりで13匹を平らげた。「日本人は頑張りすぎる。疲れていても『大丈夫、大丈夫』と絶対に答えるから」。特性を知り尽くすからこそ、試合ではプレッシャーを与えず「エンジョイ」と強調。この日も大事な後半は「楽しんでプレーしよう」だった。

 この勝利で、日本勢のアジア3連覇をゆだねられた。「日本のフットボールがアジアでNO・1だと証明するいいテスト。ここで立ち止まらず、もっと上に行く」。頼もしい指揮官に率いられ名古屋がアジアの頂点をつかみにいく。【八反誠】