ハリルジャパンの初陣を前に、東京FW武藤嘉紀(22)が箔(はく)を付ける。今日22日にアウェーで神戸と対戦。自らのゴールで、チームにとって7カ月ぶりとなる敵地での勝利を飾れば、ハリルホジッチ新体制に弾みがつく。また、合流前の23日には慶大卒業式への出席が決定。慶大から、スポーツ分野で活躍した多くの卒業生が受賞した「小泉体育賞」という勲章を受け取り、再び日の丸を背負うことになった。

 耳を傾け、背筋を伸ばした。21日、非公開での前日練習を終えた武藤は、ブルーノ・コーチから付きっきりで個別特訓。DFを背負いながら高速ターンを繰り返した。「ブルーノ・コーチは自分が点を取れているときも、取れないときでも、気に掛けてくれる。言ってくれることがすべて、自分にとってプラスになっている」。今季から特に、高い精度を要求されるポストプレーの指導を受けた。

 「あらゆるプレーができるようになってきた。いいときのミリートのようにやれば、もっと成長できる」と同コーチ。元アルゼンチン代表で、インテルなどセリエAで活躍したFWの名前を挙げ、まだ秘められた潜在能力を期待された。

 日本代表として再出発する前に、新たな勲章を手にする。ハリルジャパンの初練習が行われる23日、慶大卒業式に急きょ出席することが決定。「最後に出られてよかった」という式では、スポーツ分野で優秀な成績を収めた慶大生に贈られる「小泉体育賞」を受賞する。過去には、12年ロンドン五輪に出場した、陸上短距離の山県亮太や競泳200メートル平泳ぎ銅メダルの立石諒、プロ野球の巨人高橋由伸らが受賞。昨季、現役大学生ながら日本代表としてゴールを決め、J1でも13点の活躍を見せた武藤が、賞の対象となっても不思議ではない。

 まずは目の前の神戸戦で昨年8月以来7カ月ぶりとなる敵地での勝利、そして今季リーグ初白星に貢献し、弾みをつけたい。開幕戦アウェーG大阪戦で2得点を決める最高のスタートを切ったが、昨季は内弁慶だった。決めた13点のうち10点が本拠地の味スタ。さらに敵地での連発は1度もなかった。「スタジアムの雰囲気は確かに変わる。でも、ホームでもアウェーでも点を取ることに関しては関係ない」と、アウェーで“2戦目のジンクス”を打ち破るつもりだ。【栗田成芳】