仙台のDF多々良敦斗(27)が、今日25日にアウェーで初対戦する松本対策をチームに伝授した。24日静岡県内で行われた練習でもキレのある動きを披露し、右サイドバックでの先発出場が濃厚。昨年まで5季所属した古巣戦へ向け「粘着質の芝」「セットプレー」を注意点に挙げた。プロへの1歩を踏み出した地で成長した姿を見せるとともに、仙台に今季アウェー初勝利をもたらす。

 気合十分で、古巣松本に乗り込む。多々良は「絶対に負けたくない。無失点に抑えて点も取りたい」と今日25日の一戦を見据える。18日のホーム川崎F戦ではJ1初ゴールを決めるなど勢いも味方につける。

 「(松本)山雅がなければ今の自分はいない。お世話になったクラブなので特別な感じにはなると思うが、それも受け入れてしっかり戦う」。同じ今季加入組のMF杉浦が「アツトが(点を)取って勝ちますって書いて下さい。それぐらい気合が入っていますから」と“本気推し”するほど、メラメラと燃えている。

 1枚のメモ書きが、多々良をJリーガーにした。静岡産大4年の年末。日時と住所だけが書かれた紙を大学の監督から手渡された。「訳が分からないまま行った」先は松本のセレクション会場。「何のチームかも把握してなかったけれど、行ったからには」とテストを受けると「まさか」の合格だった。

 卒業とともに当時JFLの松本に入団。その後5シーズンの間に3バックの一角を担い、J2、J1昇格の階段を上ってきた。「最初からうまくいっていたわけじゃないが、上を目指そうという雰囲気の中でハングリーさなどを感じてきた」。自身のキャリアとともにステップアップしてきたクラブには思い入れがある。

 仙台にとっては初の松本戦。敵地アルウィンスタジアムも初めて足を運ぶ会場だ。多々良は松本対策として「粘着質の芝なので、アップから強めの速いボールを蹴っておいた方が良い。(松本は)セットプレーに命をかけているチーム。取らせてはダメ」と指摘。勝って古巣に恩返しする。【成田光季】